2. 高額療養費、「限度額引上げの見直しは見送られた」
高額療養費の総額は、高齢化や高額薬剤の普及により年々増加し、その結果として現役世代を中心とした保険料が増加しています。医療費全体に占める高額療養費の割合も上昇傾向にあります。制度のセーフティネットとしての役割を維持しつつ、全ての世代の被保険者の保険料負担の軽減を図るため、政府は以下の方向で見直しを検討していました。
※以下の記載内容は、当初計画されていた見直し案であり、現時点では実施が見送られています。
2.1 自己負担限度額の引き上げ
負担能力に応じた設計として、各所得区分で引き上げを予定していました。例えば、年収370万円〜770万円層で+10%、年収770万円〜1160万円層で+12.5%、年収1160万円超層で+15%の引き上げ案でした。
2.2 外来特例の見直し
年齢ではなく能力に応じた「全世代の支え合い」の観点から、70歳以上固有の制度である外来特例の見直しも計画されていました。しかし、患者団体からの懸念や検討プロセスへの指摘を受け、当初2025年8月に予定されていた見直し全体が一旦見送られています。
この先、医療費の抑制や現役世代の保険料負担とのバランスをどう取るかが、社会保障全体の大きなテーマとなりそうです。
著者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)/CFP®/J-FLEC認定アドバイザー
FP資格「CFP®認定者」及び「1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)」を保有。
早稲田大学卒業後、日本生命保険相互会社に入社し、生命保険・損害保険の実務および社内教育部署にて教材制作・研修企画に長年従事。独立後はファイナンシャルプランナーとして公正中立な立場から家計相談・ライフプラン設計などの相談実績を持つ。また、マネースクール講師としてNISA、iDeCoを含む資産運用、社会保障など幅広い分野で「お金の先生」として活動。特に公的年金制度の仕組み、老齢年金、障害年金、遺族年金といった厚生労働省管轄の社会保障分野に深い知見を持つ。
現在、株式会社モニクルリサーチのLIMO編集部にて、厚生労働省、金融庁、総務省、デジタル庁、財務省(国税庁)といった官公庁の一次情報をもとに、信頼性の高い記事の企画・執筆・編集・監修を担当。J-FLEC(金融経済教育推進機構)認定アドバイザーとして、企業や学校への金融教育の普及にも尽力している。
大の犬好きで、現在も愛犬と暮らす。JADP認定の「動物介護士®」「動物介護ホーム施設責任者®」「ペットセラピスト®」の資格を取得。確かな金融知識を持ちながらも、生活者としてのリアルなライフスタイルやペットケアへの深い造詣を日々の活動の糧としている。
(2026年6月26日更新)