2. 高額療養費、「限度額引上げの見直しは見送られた」
高額療養費の総額は、高齢化や高額薬剤の普及により年々増加し、その結果として現役世代を中心とした保険料が増加しています。医療費全体に占める高額療養費の割合も上昇傾向にあります。制度のセーフティネットとしての役割を維持しつつ、全ての世代の被保険者の保険料負担の軽減を図るため、政府は以下の方向で見直しを検討していました。
※以下の記載内容は、当初計画されていた見直し案であり、現時点では実施が見送られています。
2.1 自己負担限度額の引き上げ
負担能力に応じた設計として、各所得区分で引き上げを予定していました。例えば、年収370万円〜770万円層で+10%、年収770万円〜1160万円層で+12.5%、年収1160万円超層で+15%の引き上げ案でした。
2.2 外来特例の見直し
年齢ではなく能力に応じた「全世代の支え合い」の観点から、70歳以上固有の制度である外来特例の見直しも計画されていました。しかし、患者団体からの懸念や検討プロセスへの指摘を受け、当初2025年8月に予定されていた見直し全体が一旦見送られています。
この先、医療費の抑制や現役世代の保険料負担とのバランスをどう取るかが、社会保障全体の大きなテーマとなりそうです。