5. ネット広告が主役に!“マスから共感”へ変わる広告地図

ここで、総務省「令和7年版情報通信白書」から広告市場の動きを見てみましょう。

5.1 日本の広告費は全体として増加傾向、メディアごとの勢力図が大きく変化

日本の媒体別広告費の推移(百億円)

出所:総務省「令和7年版 情報通信白書」

日本の媒体別広告費の推移(百億円)

  • 2013年

    • テレビメディア: 190.23
    • 新聞: 61.20
    • 雑誌: 24.99
    • ラジオ: 12.43
    • インターネット: 93.81
    • プロモーションメディア: 214.46
    • 合計: 597.62
  • 2014年

    • テレビメディア: 195.64
    • 新聞: 60.57
    • 雑誌: 25.00
    • ラジオ: 12.72
    • インターネット: 105.19
    • プロモーションメディア: 216.10
    • 合計: 615.22
  • 2015年

    • テレビメディア: 193.22
    • 新聞: 56.79
    • 雑誌: 24.43
    • ラジオ: 12.54
    • インターネット: 115.94
    • プロモーションメディア: 214.17
    • 合計: 617.10
  • 2016年

    • テレビメディア: 196.57
    • 新聞: 54.31
    • 雑誌: 22.23
    • ラジオ: 12.85
    • インターネット: 131.00
    • プロモーションメディア: 211.84
    • 合計: 628.80
  • 2017年

    • テレビメディア: 194.78
    • 新聞: 51.47
    • 雑誌: 20.23
    • ラジオ: 12.90
    • インターネット: 150.94
    • プロモーションメディア: 206.75
    • 合計: 639.07
  • 2018年

    • テレビメディア: 191.23
    • 新聞: 47.84
    • 雑誌: 18.41
    • ラジオ: 12.78
    • インターネット: 175.89
    • プロモーションメディア: 206.85
    • 合計: 653.00
  • 2019年

    • テレビメディア: 186.12
    • 新聞: 45.47
    • 雑誌: 16.75
    • ラジオ: 12.60
    • インターネット: 210.48
    • プロモーションメディア: 222.39
    • 合計: 693.81
  • 2020年

    • テレビメディア: 165.59
    • 新聞: 36.88
    • 雑誌: 12.23
    • ラジオ: 10.66
    • インターネット: 222.90
    • プロモーションメディア: 167.68
    • 合計: 615.94
  • 2021年

    • テレビメディア: 183.93
    • 新聞: 38.15
    • 雑誌: 12.24
    • ラジオ: 11.06
    • インターネット: 270.52
    • プロモーションメディア: 164.08
    • 合計: 679.98
  • 2022年

    • テレビメディア: 180.19
    • 新聞: 36.97
    • 雑誌: 11.40
    • ラジオ: 11.29
    • インターネット: 309.12
    • プロモーションメディア: 161.24
    • 合計: 710.21
  • 2023年

    • テレビメディア: 172.47
    • 新聞: 35.12
    • 雑誌: 11.63
    • ラジオ: 11.39
    • インターネット: 333.30
    • プロモーションメディア: 166.76
    • 合計: 731.67
  • 2024年

    • テレビメディア: 176.05
    • 新聞: 34.17
    • 雑誌: 11.79
    • ラジオ: 11.62
    • インターネット: 365.17
    • プロモーションメディア: 168.50
    • 合計: 767.30

とくに目を引くのは、インターネット広告の急成長です。2013年から2024年にかけて、インターネット広告費は右肩上がりに伸び続け、2024年には全体の広告費の約半数を占めるまでに拡大しています。

一方、テレビメディア広告は依然として大きなシェアを保っているものの、横ばいになっています。そして、新聞や雑誌、ラジオといった従来型の広告媒体は、インターネットに押される形で減少傾向が続いています。

こうした変化から、企業の広告戦略が従来の「マス広告」からインターネットを活用した「デジタル広告」へシフトしている様子が見て取れます。

Z世代が広告にうんざりする背景には、こうした市場全体の変化も影響しているといえるでしょう。

6. まとめにかえて

Z世代は、「Z世代向け」と作られた広告に対して敏感であり、その多くに「自分ごとじゃない」と感じています。彼らが本当に求めるのは、過剰な演出やステレオタイプなイメージではなく、共感できる価値観とリアルで誠実な情報です。

企業がZ世代にリーチするためにはターゲット層のライフスタイルや価値観を深く理解し、一方的な「売り込み」ではなく彼らの「信頼」を築くためのコミュニケーションを重視することが不可欠といえそうです。

参考資料

LIMO・U23編集部