3. ズレる価値観、浮く演出…Z世代が「自分ごとじゃない」と離脱する広告のワケ

Z世代は「拒否」ではなく「静かなスルー」で意思表示しているようです。それでは、彼らがそうした広告に見出している共通点とはいったい何なのでしょうか。

「自分ごとじゃない」と感じるのは、主にどんな点ですか?

出所:Fiom合同会社「Z世代の広告のリアルについての実態調査」(PRTIMES)

「自分ごとじゃない」と感じるのは、主にどんな点ですか?

  • ターゲットの違い(明らかに自分とは違う世代や層に向けられている):49%
  • 価値観のズレ(描かれているライフスタイルや考え方が、自分の価値観と合わない):39%
  • 非現実的な演出(商品のよさや体験が、大げさで嘘っぽく見える):26%
  • 売り込み感の強さ(「買わせよう」という意図が透けて見える):26%
  • 表現のズレ(使われている言葉やタレント、音楽が古い/ズレている):25%
  • 理解不足な描写(Z世代のステレオタイプな(偏った)イメージを押し付けられている感じがする):11%

最も多かったのは「ターゲットの違い(明らかに自分とは違う世代や層に向けられている)」で49%でした。

次いで「価値観のズレ(描かれているライフスタイルや考え方が、自分の価値観と合わない)」が39%、「非現実的な演出」が26%、「売り込み感の強さ」が26%と続きます。

多様な考えを持つZ世代に対して、正確なターゲットや価値観をもつのは難しいかもしれません。しかし、回答からは「わざとらしさ」が強い広告や明確なズレを感じる広告を避けているのだとわかります。

広告や企業のSNS発信において「嘘っぽさ」や「作られた感じ」を覚えるのはどんな時ですか?

出所:Fiom合同会社「Z世代の広告のリアルについての実態調査」(PRTIMES)

広告や企業のSNS発信において「嘘っぽさ」や「作られた感じ」を覚えるのはどんな時ですか?

  • モデルや出演者の表情・リアクションが過剰に演技がかっている:56%
  • 「愛用者の声」として紹介される体験談が、都合の良いことしか言っていない:34%
  • 商品やサービスが、現実離れした完璧な状態で映されている:34%
  • 流行りのフォーマット(vlog風、tiktok風など)を、上辺だけ真似している:33%
  • セリフやナレーションが、普段使わないような不自然な言葉づかい:16%

また「嘘っぽさ」や「作られた感じ」を覚えるのはどんな時か尋ねると「モデルや出演者の表情・リアクションが過剰に演技がかっている」ときだと回答した人は56%に上りました。

さらに「愛用者の声」として紹介される体験談が都合の良いことしか言っていなかったり「流行りのフォーマットを上辺だけ真似している」と感じたりする広告も、彼らの心には響かないようです。

つまり、Z世代が大事にする「口コミ」や「動画などのフォーマット」を形だけ都合よく使われることに対して納得がいっていないように見受けられます。

Z世代が求めるのは「共感の輪」であって「説得」ではありません。広告が「語りかける」存在から「一緒に考える」構図へと変化しつつあるのでしょう。

次の章では、そんなZ世代が本当に信頼している情報源に注目していきましょう。