ここ数年の円安・株高の流れは止まらず、日経平均株価の終値は史上最高値となる4万8000円を突破しました。さらに、有事の金とされる金現物(ゴールド)も1トロイオンス4000ドルを突破するなど、資産価格の高騰が続いています。このような相場により、資産が増えた人は少なくないでしょう。

もちろん、投資はリスクを伴うため、価格が上昇するときもあれば下落するときもあります。しかし、この変動の波を乗りこなし、安定的な運用で長期的に資産を増やせる期待も高まっています。

そこで本記事では、NISA口座で税制優遇を受けながら、積立投資「毎月3万円」を年3%~4%で安定運用できた場合、10年後・20年後・30年後に資産がどのように増えるのか、その期待値をシミュレーションしていきます

1. シミュレーションの根拠:年金積立金は年4%前後の実績

今回、シミュレーションで用いる年3%や4%という利回りは、単なる仮定ではありません。これは、安定的な長期運用を目指す上で、公的な実績に基づいた現実的な数字だからです。

実は、皆さんの公的年金の積立金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、運用開始の2001年度以降、長期的に年率4.33%という収益率を上げています。直近の2025年度第1四半期(4月~6月)の期間収益率も4.09%です。

下の推移グラフからもわかる通り、短期的に下がる局面はあるものの、長期では着実に収益が積みあがっている様子がわかります。

GPIF「市場運用開始後の四半期収益率と累積収益額(2001 年度~2025年度第1四半期)」

GPIF「市場運用開始後の四半期収益率と累積収益額(2001 年度~2025年度第1四半期)」

出所:GPIF「2025年度第1四半期運用状況(速報)」

公的年金の運用は、減らすことが許されない性質上、極めて慎重に行われています。下の円グラフにある通り、「国内債券・国内株式・海外債券・海外株式」を25%ずつという基本ポートフォリオ(資産配分)でリスクを分散しています。

運用資産額・構成割合(年金積立金全体)

運用資産額・構成割合(年金積立金全体)

出所:GPIF「2024年度第3四半期運用状況(速報)」

この慎重な運用にもかかわらず、公的年金は変動を伴いながらも、長期的におおむね年率+4%前後の成果を上げてきました。

そこで本記事のシミュレーションでは、この実績を現実的な根拠とし、4%と、ややリスクを抑えた3%のケースを採用しました。

これからNISAで資産運用を始める方にとって、公的年金の運用実績とポートフォリオは、リスクを抑えた長期投資の現実的な目標となるでしょう。