3. 傷病手当金がもらえないケース
傷病手当金をもらえる条件は満たしていても、傷病手当金の一部、または全部がもらえないケースがあります。
3.1 他の給付との重複受給
出産手当金を受給している期間は、原則として傷病手当金は支給停止となります。ただし、傷病手当金の額が出産手当金より多い場合は、差額が支給されます。
障害厚生年金や障害手当金を受給している場合も、同様に支給停止または減額となります。年金額を日額換算し、傷病手当金との差額が支給されます。
3.2 労災保険給付との調整
労災保険から休業補償給付を受けている期間は、たとえ別の病気やケガであっても、傷病手当金は支給されません。
同一の傷病で労災認定された場合は、当然ながら傷病手当金の支給対象外となります。
3.3 複数傷病での重複申請
複数の病気やケガで同時期に傷病手当金を申請した場合、日額の高い方のみが支給され、他の傷病手当金は支給されたものとみなされます。
既に1年6カ月の支給限度に達した傷病と同一と判断される場合、新たな申請は不支給となる可能性があります。
4. 支給期間と支給額の計算方法
傷病手当金はどのくらいの金額をどれだけの間受け取れるのでしょうか。傷病手当金の支給額と支給期間について解説します。
4.1 支給期間の変更点
2022年1月1日から、支給期間が「支給開始から連続した1年6カ月」から「支給開始から通算1年6カ月」に変更されました。
途中で出勤した期間は支給期間から除外され、実質的な受給期間が延長されるようになっています。
4.2 支給額の基本計算
傷病手当金の日額は「支給開始日前12カ月の標準報酬月額の平均額÷30日×2/3」で計算されます。概ね給与の約67%が支給されることになります。
勤続期間が12カ月未満の場合は、勤続期間中の標準報酬月額の平均か、全被保険者の平均標準報酬月額(30万円)のいずれか低い額を基準とします。
4.3 具体的な計算例
月給25万円の場合:25万円÷30日×2/3=約5556円/日
月給40万円の場合:40万円÷30日×2/3=約8889円/日
標準報酬月額に変動がある場合は、12カ月分を合計して平均値を算出します。