11月に入り、朝晩の冷え込みがぐっと増してきました。そろそろ暖房を使い始めたという方も多いのではないでしょうか。
寒さが本格化するこれからの季節、気になるのが光熱費の負担です。そんな中、生活保護世帯などを対象にした「冬季加算」という制度があります。
これは、冬場の暖房費などの負担を少しでも軽くするために支給されるもので、国のセーフティネットとして大切な役割を担っています。
この記事では、冬季加算のしくみや支給額、制度が生まれた背景などを整理しながら、国の支援がどのように暮らしを支えているのかを一緒に見ていきましょう。
1. 生活保護を受けている人は全体で「約199万人」
生活保護とは、病気や高齢、その他の様々な事情により収入が減少し、年金や貯蓄など、あらゆる手立てを尽くしてもなお生活が困難な状況にある場合に、国が定める最低限度の生活を保障する制度です。
このため、人々の暮らしを支える「最後のセーフティネット」と呼ばれています。
近年、物価高騰の影響もあり、年金や貯蓄だけでは生活維持が難しくなり、暮らしに困窮する高齢者が増加傾向にあります。
厚生労働省が2025年10月1日に公表した最新の調査結果から、生活保護と高齢者の現状について見ていきましょう。
1.1 生活保護の被保護者調査:令和7(2025)年7月分
厚生労働省が公表した最新の「生活保護の被保護者調査(令和7年7月分概数)」によると、2025年7月時点で生活保護を受けている人は全体で199万93人(前年同月比▲2万3234人減)、被保護者実世帯数は164万7618世帯(同▲6426世帯減)、受給者・世帯数ともに前年より減少しています(※保護停止中を含む)。
一方で、保護の申請件数は2万5085件と、前年同月より150件減ってはいるものの、依然として新たに支援を求める人の数は大きく変わっていない状況もうかがえます。
- 被保護実人員数(※保護停止中を含む):199万93人(前年同月比▲2万3234人減)
- 被保護実世帯数(※保護停止中を含む):164万7618世帯(前年同月比▲6426世帯減)
- 保護申請件数:2万5085件(前年同月比▲150件減)
1.2 生活保護の被保護者世帯「55.3%が高齢者世帯」という現実
特に深刻なのは高齢者の状況です。全受給世帯のうち、高齢者世帯は90万4728世帯にのぼり、全体の55.2%と半数以上を占めています。
この高齢者世帯数は、前年同月比で▲4993世帯減となりましたが、前月比では190世帯増となっており、依然として高い割合であることに変わりありません。
- 高齢者世帯数:90万4728世帯
- 全体に占める割合:55.2%
- 前年同月比:▲4993世帯減(▲0.5%減)
- 前月比:190世帯増
高齢者世帯が生活保護制度の大半を占めており、現在は微減傾向にあるものの、高齢化の進行に伴う制度の重要性は変わりません。年金制度の充実や医療費負担軽減など、総合的な対策が必要とされています。
