一気に冷え込みが増して、秋の深まりを感じる10月下旬。朝晩の寒さに思わず暖房をつけたくなる季節になりましたね。そんな時期になると、どうしても気になるのが暖房代などの光熱費。家計への負担を少しでも軽くするために設けられているのが、生活保護制度の「冬季加算」です。

冬季加算は、寒い季節に増える光熱費や暖房費を見越して支給される公的な支援で、地域や世帯人数によって金額が決まります。

この記事では、この冬季加算の仕組みや支給額、制度ができた背景を整理しながら、国のセーフティネットがどのように暮らしを支えているのかを一緒に見ていきましょう。

1. 「生活保護」を受けている人はどのくらいいる?

生活保護とは、病気や高齢などにより収入が減少し、年金や貯蓄といったあらゆる手段を講じても生活が維持できない場合に、国が定める最低限の生活費を保障する制度です。

近年では、物価上昇の影響により年金や貯蓄だけでは生活が成り立たず、生活に困難を抱える高齢者が増加しています。

ここからは、厚生労働省が公表した調査結果をもとに、生活保護と高齢者を取り巻く現状を見ていきましょう。

厚生労働省が公表した最新の「生活保護の被保護者調査(令和7年7月分概数)」によると、2025年7月時点で生活保護を受けている人は全体で199万93人(前年同月比▲2万3234人減)、被保護者実世帯数は164万7618世帯(同▲6426世帯減)、受給者・世帯数ともに前年より減少しています(※保護停止中を含む)

一方で、保護の申請件数は2万5085件と、前年同月より150件減ってはいるものの、依然として新たに支援を求める人の数は大きく変わっていない状況もうかがえます。

  • 被保護実人員数(※保護停止中を含む):199万93人(前年同月比▲2万3234人減)
  • 被保護実世帯数(※保護停止中を含む):164万7618世帯(前年同月比▲6426世帯減)
  • 保護申請件数:2万5085件(前年同月比▲150件減)

特に深刻なのは高齢者の状況です。全受給世帯のうち、高齢者世帯は90万4728世帯にのぼり、全体の55.2%と半数以上を占めています。

この高齢者世帯数は、前年同月比で▲4993世帯減となりましたが、前月比では190世帯増となっています。

  • 高齢者世帯数:90万4728世帯
  • 全体に占める割合:55.2%
  • 前年同月比:▲4993世帯減(▲0.5%減)
  • 前月比:190世帯増

高齢者世帯が生活保護制度の中で大きな割合を占めている現状は変わらず、受給世帯数は微減しているものの、高齢化の進展に伴い制度の重要性はむしろ高まっています。

今後は、年金制度の充実や医療費負担の軽減といった複合的な支援策を講じることが、生活の安定と制度の持続可能性の両面で求められています。