月が変わるごとに目にする「値上げ」のニュースに、「またか」という思いを抱く方もいらっしゃることでしょう。
物価上昇がもはや当たり前となりつつある昨今、「節約疲れ」というワードが出てくるのも当然かもしれません。
とくに賃金や収入の伸びが抑制された状況下での継続的な物価上昇は、収入を得る手段が限られる高齢者にとって、生活の質に関わる重要な問題です。
これから年金を受給する方にとっても、年金だけで生活できるのか、気になるところでしょう。
そこで今回は、60歳から90歳の方が受け取っている「平均的な年金額」についてお伝えします。また、日本の公的年金制度や年金・貯蓄を増やす方法についても解説しますので、さっそくみていきましょう。
1. 【おさらい】日本の年金制度 ー国民年金と厚生年金ー
1.1 国民年金とは?
日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入するのが国民年金です。
職業等によって、第一号被保険者・第二号被保険者・第三号被保険者の3つに分類され、厚生年金に加入していなければ、下記の第一号被保険者か第二号被保険者となります。
- 第一号被保険者・・・自営業者や学生、無職の方など
- 第二号被保険者・・・会社員や公務員など
- 第三号被保険者・・・第二号被保険者に扶養されている配偶者
自営業者やフリーランス、学生などは第一号被保険者に分類されます。のちほど説明しますが、会社員や公務員と異なり、保険料は自分で納付します。保険料は毎年見直しがあり、令和7年度の国民年金保険料は1万7510円です。
国民年金の保険料は、原則として40年間(480カ月)納付する必要があります。滞納などが無く、全期間を支払うと満額の年金、6万9308円(令和7年度の例)が受給できます。
ただし、学生の方や事情により納付が困難な方には免除や猶予などの特例措置があります。
会社員や公務員は第二号被保険者に分類され、国民年金と厚生年金、両方の制度に加入することになります。
保険料は厚生年金保険料として給与から天引きされます。また、第三号被保険者の保険料は、第二号被保険者の加入制度が負担するため、自己負担がありません。
1.2 厚生年金とは?
会社員や公務員が加入するのが厚生年金保険です。厚生年金に加入している人は、同時に国民年金にも加入してることになり、将来は基礎年金と厚生年金の「2本立て」で年金を受け取ることになります。
したがって、国民年金(老齢基礎年金)のみを受け取っている人と厚生年金に長く加入していた方の年金額では、比較すると大きな差が生じることになります。
厚生年金保険料は、給料や賞与の額から標準報酬月額、標準賞与額を決定し、保険料率をかけて計算されます。保険料は勤務先と被保険者が折半して支払います。
給与や賞与、加入期間によって将来の年金額が変動するので、現役時代の働き方や収入水準が年金額に反映されます。そのため、年金受給額に個人差が生じやすくなります。