2. 【70歳以上】医療費の自己負担限度額をチェック

高額療養費制度を使うには、自身の医療費の自己負担限度額がいくらなのか確かめておく必要があります。

医療費の自己負担限度額は、その人の年収によって決定します。70歳以上と69歳以下で、自己負担限度額の区分は異なります。この記事では、70歳以上を例に、自己負担限度額をチェックしてみましょう。

【高額療養費制度】自己負担限度額(70歳以上)

【高額療養費制度】自己負担限度額(70歳以上)

出所:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」をもとに筆者作成

【70歳以上〜】

  • 年収約1160万円〜:25万2600円+(医療費-84万2000円)×1%
  • 年収約770万円~約1160万円:16万7400円+(医療費-55万8000円)×1%
  • 年収約370万円~約770万円:8万100円+(医療費-26万7000円)×1%
  • 年収156万~約370万円:5万7600円
    ※外来は1万8000円、年間14万4000円
  • 住民税非課税世帯:2万4600円
    ※外来は8000円
  • 住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など):1万5000円
    ※外来は8000円

70歳以上の人は、基本的に収入源が給与から年金にシフトします。年金(基礎年金+厚生年金)の平均受給月額は月額14万6429円ですから、多くの人が「年収156万〜約370万円」に区分されると考えられます。年収156万〜約370万円の自己負担限度額は1ヵ月あたり5万7600円です。

また、70歳以上であれば、年金収入には最低でも110万円の公的年金等控除が適用されます。控除額が大きいため、住民税が非課税になる可能性もあるでしょう。住民税非課税世帯は年金収入によって2つの区分に分けられます。一般的な住民税非課税世帯の自己負担限度額は1ヵ月あたり2万4600円、年金収入80万円以下など低所得の住民税非課税世帯は1ヵ月あたり1万5000円です。

シニア世代は比較的高額療養費が使いやすいように制度設計されています。自身の年収をあらためて確かめ、1ヵ月あたりの医療費の自己負担限度額がいくらなのか、チェックしてみてください。

次章では、実際に払い戻される金額をシミュレーションしてみましょう。