2. 新NISAでの積立投資で知っておくべき3つの注意点
メリットが多く取り上げられるNISA口座ですが、積立運用をする際に知っておくべき注意点も存在します。ここでは、損失が出た際のNISA口座特有のデメリットと、注意点を説明します。
2.1 損益通算ができない
まず知っておきたいのは、NISA口座で投資して損失が出た場合、他の口座で得た利益と損益通算ができないという点です。
通常の特定口座であれば、ある銘柄の売買で出た損失を、別の銘柄の利益と相殺して税金の計算ができますが、NISA口座ではそれができません。
これはNISAがそもそも「非課税」制度であるため、利益に税金がかからない代わりに、損失についても税制上の恩恵を受けられない仕組みになっているからです。
そのため、他の口座で株式を運用しており、その利益が出た時であっても、NISA口座で運用している商品の売買による損失では相殺ができないのです。
2.2 損失が出たらどうすれば良いか?
新NISAのつみたて投資枠で選択できる商品は比較的安定しており、大暴落などが想定されていないものが多いです。
しかし、それでも売却をする際に価値が下落して損失が出る状態になることもあり得なくはありません。
ここで言う損失とは、実際にはまだ売却していない「含み損」の状態、つまり積み立てた銘柄の現在価値が投資額より下がっている状態を指します。
このような状況になったとき、これ以上損を出したくないがために売却という判断をとると、その含み損はそのまま積立投資の損失となります。
しかし、焦って売却せずに様子を見た方が、結果的に損失を防いで利益を得ることができるケースも多くあります。
2.3 なぜ焦って売らないほうが良いのか?
新NISAのつみたて投資枠で選べる銘柄は、基本的に株式市場全体と連動して推移するインデックスファンドや分散投資型の投資信託が中心です。株式市場は短期的には上下に変動しますが、長い目で見ると緩やかに上昇する傾向があります。
例えば、過去100年の世界の株式市場を見ると、様々な危機や不況を乗り越えながらも、長期的には上昇してきました。一時的に価値が下がったとしても、長期的に見れば再び利益になる可能性が高いのです。
この「時間の力」を味方につけるのが、積立投資の大きな魅力です。一時的な下落に動じず、淡々と積立を続けることで、むしろ安い価格で多くの口数を買えるという利点もあります。
そのため、新NISAのつみたて投資枠において損失に対処するためのポイントとして、長期的な視点を持ち、一時的な市場の変動に惑わされずに売却のタイミングを考えることが重要となります。
