厚生労働省は全国平均の最低賃金と、各都道府県ごとの改定目安を発表しました。

発表によれば、全国の最低賃金の加重平均は1121円となり、過去最大の引き上げ幅を記録しています。

なお、この数値はあくまで全国平均であり、地域ごとに実際の金額は異なります。

本記事では、都道府県別の最新の最低賃金額について紹介していきます。

1. 【2025年度】最低賃金の平均は「1121円」で過去最大の引き上げに

2025年8月4日に開催された第71回中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金改定額の目安に関する答申がまとめられました。

地域ごとの経済状況の差を踏まえ、A〜Cの3ランクに分類し、それぞれに引上げ額の目安が示されています。

【各都道府県に適用される目安のランク】1/4

【各都道府県に適用される目安のランク】

出所:厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について」

【各都道府県に適用される目安のランク】

  • Aランク:埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪
  • Bランク:北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡
  • Cランク:青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

2025年度の引上げ額は、Aランク63円、Bランク63円、Cランク64円と設定されています。

次章では、2025年度における都道府県別の最低賃金目安額を詳しく確認していきます。

2. 【都道府県別】2025年度の「最低賃金の目安」はいくら?

2025年度の都道府県別における最低賃金の目安額は下記のとおりです。

【都道府県別の2025年度における最低賃金の目安の一覧表】2/4

【都道府県別の2025年度における最低賃金の目安の一覧表】

出所:厚生労働省「令和7年度 地域別最低賃金 答申状況」

【都道府県別の2025年度における最低賃金の目安の一覧表】

  • 北海道:1075円
  • 青森:1029円
  • 岩手:1031円
  • 宮城:1038円
  • 秋田:1031円
  • 山形:1032円
  • 福島:1033円
  • 茨城:1074円
  • 栃木:1068円
  • 群馬:1063円
  • 埼玉:1141円
  • 千葉:1140円
  • 東京:1226円
  • 神奈川:1225円
  • 新潟:1050円
  • 富山:1062円
  • 石川:1054円
  • 福井:1053円
  • 山梨:1052円
  • 長野:1061円
  • 岐阜:1065円
  • 静岡:1097円
  • 愛知:1140円
  • 三重:1087円
  • 滋賀:1080円
  • 京都:1122円
  • 大阪:1177円
  • 兵庫:1116円
  • 奈良:1051円
  • 和歌山:1045円
  • 鳥取:1030円
  • 島根:1033円
  • 岡山:1047円
  • 広島:1085円
  • 山口:1043円
  • 徳島:1046円
  • 香川:1036円
  • 愛媛:1033円
  • 高知:1023円
  • 福岡:1057円
  • 佐賀:1030円
  • 長崎:1031円
  • 熊本:1034円
  • 大分:1035円
  • 宮崎:1023円
  • 鹿児島:1026円
  • 沖縄:1023円

いずれの地域も1000円を超え、最も低いのは高知県・宮崎県・沖縄県で1023円となりました。

一方で、最も高いのは東京都の1226円、次いで神奈川県の1225円が見込まれています。

では、2025年度の最低賃金の引き上げはいつから適用されるのでしょうか。

3. 2025年度の「最低賃金の引き上げ」はいつから適用される?

最低賃金の改定は地域によって異なりますが、10月以降に実施されるケースが多く、今年も多くの地域で10月からの引き上げが見込まれています。

改定額は、公益代表・労働者代表・使用者代表の3者が同数で構成される最低賃金審議会での議論を経て、都道府県労働局長が決定します。

手続きとしては、各地方最低賃金審議会が地域の状況を考慮して審議・答申を行い、その後、異議申出に関する手続きを経て、最終的に都道府県労働局長が決定する仕組みです。

最低賃金の決め方3/4

最低賃金の決め方

出所:厚生労働省「最低賃金の決め方は?」

このため、適用開始日は都道府県ごとに異なる場合があり、実施時期は各都道府県の労働局が定める日程を確認する必要があります。

最低賃金の引き上げは、多くの人にとって喜ばしい動きと受け止められる一方で、年収の壁を意識して働く人にとっては、勤務時間の調整や働き控えといった新たな課題を生む可能性があります。

こうした影響を抑えるため、政府は賃金引き上げに伴う働き控えが発生しないよう、収入基準の撤廃を決定しました。

次章では、最低賃金の改定とともに知っておきたい「106万円の壁の撤廃」についても確認しておきましょう。

4. 「106万円の壁」が廃止に!そもそも年収の壁とは?

「年収の壁」とは、扶養内で働く人が一定額以上の年収を得た場合に、税金や社会保険料の負担が増える仕組みを指し、金額に応じて「◯◯万円の壁」と呼ばれます。

扶養内で働くことで本人の税金や社会保険料の負担が軽くなるだけでなく、扶養する配偶者も所得控除を受けられるため、世帯全体の税負担を抑えることが可能です。

この恩恵を受け続けるには、年収が一定の上限を超えないことが条件となるため、多くの人が「年収の壁」を意識して働いています。

2025年6月、国会で「年金制度改革関連法」が可決され、パート勤務者に適用されていた「106万円の壁(賃金月額8万8000円以上の基準)」が廃止されました。

4.1 パート主婦を悩ませていた「106万円の壁」が廃止される方針に

「106万円の壁」とは、一定の条件を満たす職場で働く場合に、社会保険への加入が義務付けられる年収の目安を指します。

この基準を超えると社会保険料の負担が発生し、手取り収入が減少することで、場合によっては基準を超える前より収入が少なくなることもあります。

現行では、「従業員数が51人を超える企業(短時間労働者を除く)」に勤務し、かつ所定の条件を満たす場合には、パートやアルバイトでも社会保険の適用対象となります。

しかし、今回成立した年金制度改革関連法により、今後は「週20時間以上勤務していること」と「学生でないこと」の2つだけが適用要件として残ることになります。

では、この「106万円の壁」の撤廃と「最低賃金の引き上げ」は、どのようなつながりがあるのでしょうか。

4.2 「106万円の壁」の廃止によって、賃金引き上げによる働き控えは緩和される?

最低賃金の引き上げによって、同じ勤務時間でも得られる収入が増えるため、パートやアルバイトでは賃金改定前よりも早い段階で「106万円の壁」に達する人が増える恐れがあります。

しかし、「月額8万8000円(年収106万円)以上」という収入基準が廃止されれば、最低賃金が上がっても勤務時間を減らさず、安定して収入を増やす働き方が可能になるでしょう。

とはいえ、「週20時間以上勤務」という条件は継続するため、年収の壁に関する課題がすべて解消されるわけではありません。

加えて、106万円の壁がなくなったとしても、「103万円の壁」や「130万円の壁」など、依然として注意すべき収入ラインは存在します。

そのため、働き方を検討する際には、これらの制度全体を踏まえて判断することが重要です。

5. 2025年10月の最低賃金の引き上げに備えて自分の給与水準や働き方を見直そう

本記事では、都道府県別の最新の最低賃金額について紹介していきました。

2025年度の最低賃金は、全国平均で1121円に達する見通しで、10月から順次引き上げが行われる予定です。

今回の過去最高の上昇幅を歓迎する声がある一方で、「年収の壁」を意識する人にとっては新たな課題となる可能性があります。

この機会に、自分の給与水準や働き方について改めて見直すことを検討してみてはいかがでしょうか。

参考資料

和田 直子