生活保護を受給中の世帯に対し、2025年10月から、生活扶助基準額に月額500円が加算される特例措置が2年間実施されます。
すでに2023年・2024年の2年間にわたり、1000円の特別加算がなされていますが、さらに500円増額されることで月額1500円が加算されることになります。
この記事では、生活保護制度について再確認するとともに、生活扶助の特例加算の概要について詳しく解説していきます。
1. 生活保護の受給要件と《8種類の扶助》
生活保護とは、生活が困窮している世帯に対し、困窮の度合いに応じて必要な保護を行う制度です。
「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立に向けてサポートすることを目的としています。
1.1 生活保護を受給できる要件
生活保護を受給するには一定の要件を満たしている必要があり、要件を満たしても生活が苦しい場合に支給対象となります。主な要件は以下の通りです。
【資産の活用】
- 預貯金や生活に利用していない土地・家屋などを保有している場合は、売却するなどして資金化し、生活費に充てること
【能力の活用】
- 働ける場合は、健康状態や年齢など能力に応じて働くこと
【他の制度を優先して活用】
- 公的年金や手当など、ほかの制度で給付を受けられる場合は、それらを優先して活用すること
【扶養義務者の援助を優先】
- 親や子ども、兄弟などの扶養義務者から援助を受けられる場合は、生活保護よりそれらが優先される
1.2 生活保護には8種類の扶助がある
生活保護には8つの扶助種類があり、世帯状況に応じて適切な扶助が支給されます。8つの扶助項目と内容は以下の通りです。
- 生活扶助:食費や水道光熱費などの日常生活に必要な費用
- 住宅扶助:アパートなど賃貸物件の家賃
- 教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
- 医療扶助:医療機関を受診した際の費用
- 介護扶助:介護サービスを利用した際の費用
- 出産扶助:出産費用
- 生業扶助:就労に必要な技能を修得するために要する費用
- 葬祭扶助:葬祭費用
これら8つの扶助項目のうち、多くの世帯が受給するのが生活扶助です。
そしてこの生活扶助が、2025年10月から500円上乗せ支給されることになっています。