秋の気配が深まり、今年も残すところあと3ヶ月ちょっととなりました。将来に向けた資産形成や老後の生活に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
物価高や円安が続く中、将来の暮らしを考える上で、公的年金制度を正しく理解することは非常に重要です。そもそも公的年金がどんな仕組みで、いくら受け取れるのかを正確に把握している人は意外と少ないかもしれません。
本稿では、日本の公的年金制度の仕組みや、年代・男女別の平均受給額について、最新のデータをもとに解説します。老後の生活設計を考える第一歩として、公的年金への理解を深めていきましょう。
1. 日本の「公的年金制度(国民年金+厚生年金)」は2階建て
日本の公的年金制度は「2階建て」と呼ばれています。
これは、基礎となる「国民年金」と、その上に加わる「厚生年金」で成り立っているためです。
では、それぞれの仕組みについて確認していきましょう。
1.1 国民年金(1階部分)の加入対象・保険料・受給額
- 加入対象:原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満の全ての人
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間納付すると65歳以降に満額(※2)を受給できる
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
1.2 厚生年金(2階部分)の加入対象・保険料・受給額
- 加入対象:会社員や公務員、一定要件を満たすパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入
- 年金保険料:報酬(賞与・給与)に応じて計算される(上限額あり※3)
- 老後の受給額:国民年金に上乗せして受給。厚生年金部分は年金加入期間や納付済保険料により個人差が出る。
※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
厚生年金(2階部分)に加入している人は、同時に国民年金(1階部分)にも加入していることになります。
加入状況は将来の年金額に直結し、国民年金のみの人と比べて、厚生年金にも加入している人のほうが受け取れる年金額は手厚くなります。