5. 年金に上乗せ支給される「老齢年金生活者支援給付金」とは?
シニア世代の年金受給額には個人差がありますが、公的年金だけでは生活に不安を感じる人も少なくありません。
そうした場合に頼れる制度のひとつが「年金生活者支援給付金」です。
年金生活者支援給付金は、一定の所得要件などを満たした人に対して、年金に上乗せして支給されるものです。
特に65歳以上の高齢者を対象とした「老齢年金生活者支援給付金」は、経済的な負担を軽くする助けとなる可能性があります。
5.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件をチェック
老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、以下の要件すべてを満たす人となっています。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
 - 同一世帯の全員が市町村民税非課税
 - 前年の公的年金等の収入金額※1 とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下※2 である。
 
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
給付額は2025年度で月額5450円が基準となっており、実際の支給額は保険料の納付期間などによって変わります。
この給付金は自動的に支給されるものではなく、対象となる可能性がある人には日本年金機構から通知書と請求書が送付されるため、届いた場合は必ず請求手続きを行いましょう。
6. まとめにかえて
今回は、国民年金と厚生年金を「年間300万円以上」受け取っている人について詳しく見ていきました。
厚生労働省年金局のデータによれば、年間300万円以上の年金を受け取っている人はわずか1.7%です。
現役世代であれば「年収300万円以上」と聞いても日本の平均年収以下となる水準であるため、十分な金額だと感じる人は少ないかもしれません。
しかし年金生活においては、年間300万円以上の年金額を受け取れるのは、ごく限られた人であることが分かりました。
年金生活者の大半の方が、年間300万円以下の年金額で老後の生活を送っています。
税金や社会保険料が天引きされると、手取りの年金額はさらに少なくなるでしょう。
また、物価高も続いていることから、年間300万円の年金収入では老後生活に不足する可能性もあります。
年金の受給額には個人差があるため、ご自身の年金見込額を確認したうえで「老後の生活に足りない」と感じた場合は、今のうちから年金以外に頼れる老後資金を準備しておくとよいでしょう。
まずは、年金情報をチェックしたり家計と照らし合わせたりすることからはじめてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
 - 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
 - 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
 - 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
 - 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
 
鶴田 綾
