年金は老後の生活を支える大切な収入源ですが、国からの「公的年金」だけで十分に暮らせている人は多くありません。

厚生労働省年金局が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金のみの受給者の平均額はおよそ5万円、一方で会社員や公務員などが加入する厚生年金の平均額はおよそ14万円となっています。

もちろんこれは平均値であり、実際には多くの人が現役時より収入が大きく減少する傾向にあります。

こうした低年金の世帯を支援するため、政府は「年金生活者支援給付金」制度を設けて経済的なサポートを行っています。

本記事では、この「年金生活者支援給付金」の対象となる人や2025年度の支給基準額、申請方法について解説していきます。

新たに対象となる方へ9月から送付される「年金生活者支援給付金請求書」についても解説しているので、あわせて参考にしてください。

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1. 【あなたは対象?】年金に上乗せ支給される「年金生活者支援給付金」とは

年金生活者支援給付金は、公的年金やその他の収入が限られ、生活に困難を抱える高齢者世帯を対象とした制度です。

この給付金を受け取るには、「老齢基礎年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」のいずれかを受給していることが前提となり、さらに定められた複数の要件をすべて満たす必要があります。

それぞれの年金生活者支援給付金の要件について詳しく確認していきましょう。

1.1 あなたは対象?「老齢年金生活者支援給付金」をもらえる人

老齢年金生活者支援給付金を受け取れるのは、以下の要件を全て満たす人です。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
  • 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は90万6700円以下(※)である

老齢年金生活者支援給付金の支給判定では、障害年金や遺族年金といった非課税の収入は算入されません。

さらに、わずかに基準を超えたことで対象外となる人と、ぎりぎり基準内に収まった人との間で不公平が生じないようにするため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が設けられています。

※昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

1.2 あなたは対象?「障害年金生活者支援給付金」をもらえる人

障害年金生活者支援給付金を受け取れるのは、以下の要件を全て満たす人です。

  • 障害基礎年金の受給者である
  • 前年の所得が479万4000円以下

障害年金などの非課税収入は、給付金の支給要件を判定する際の所得には算入されません。

また、扶養親族の人数に応じて給付額が上乗せされる仕組みも設けられています。

1.3 あなたは対象?「遺族年金生活者支援給付金」をもらえる人

遺族年金生活者支援給付金を受け取れるのは、以下の要件を全て満たす人です。

  • 遺族基礎年金の受給者である
  • 前年の所得が479万4000円以下

障害年金と同様に、遺族年金などの非課税収入も「年金生活者支援給付金」の支給要件を判定する際には所得に含まれません。

さらに、扶養親族の人数に応じて給付額が加算される仕組みとなっています。

次章では、2025年度最新の「年金生活者支援給付金」の給付基準額について確認していきましょう。