4. 「何もしない派」と「積極行動派」内定者のスキルアップは二極化へ
内定者による「入社時点でスキルアップのための取り組み」の現状は、二極化が進んでいる傾向にあるようです。
入社時点でスキルアップのために取り組んでいること

出所:ALL DIFFERENT株式会社「【調査】内定企業からのフォロー満足度ランキング、1位は「懇親会」、2位「アルバイト・2位「アルバイト・インターン」、3位「入社予定の会社で研修」」
まず「特に何もしていない」と回答した人が、2020年度の23.1%から2025年度には32.3%へと大幅に増加しました。
「入社前に何をしたらよいかわからない」という内定者こそ、入社前研修の満足度が高まるのかもしれません。
また「ビジネス本を読んでいる」と回答した人が2020年度の29.2%から激減。2025年度には14.2%をマークしています。本を読まなくなったという世論もあるかもしれませんが、学生の目線からすれば「ビジネスへの縁遠さ」ゆえ敬遠している印象もあります。
一方で、近年では「自分の人脈を通じてその人から学んでいる」という回答が増加しています。コロナ禍が落ち着き、対面での面談が容易になったことや、オンライン上での社員訪問ツールの利用が一般的になった影響もあるでしょう。
筆者も内定期間・就活中合わせて複数回、社員訪問を経験しました。そのとき得られた情報や心がけを大切に、これから先の社会人生活を送っていこうと考えてイメージを膨らませるようになりました。
ビジネス本よりも人脈を活用する傾向にあるのは、本に載っている「型」よりも実際に働いている人の声が知りたいといった思いもあるでしょう。その企業でのキャリアを具体的に考えていると言えるかもしれません。
これらのことから、内定期間中のスキルアップに対する意識は「特に何もしていない」層と、自ら積極的に行動して学ぶ層の二極化が進んでいると考えられます。企業は内定者の多様な学習スタイルに合わせ、柔軟なフォローアップの提供が求められるでしょう。
内定者の友人と話をしていると、たくさん資格を取ろうと努力している人もいれば自由度が高い今だからこそ海外旅行に行く人も見受けられ、それぞれの内定者期間を充実させているようでした。
企業の研修も求められる一方、学生ならではの自由な時間も大切にしてほしい。企業にとっては難しい状況といえるかもしれません。
5. まとめにかえて
内定者は入社前に大きな不安を抱えています。不安を払拭し、入社時の満足度を高めるには企業からの適切なフォローが不可欠といえるでしょう。
とくに、直接的なコミュニケーションの機会となる「懇親会」は最も満足度が高く、「入社前の研修」は学生の入社後の期待感を高める上で非常に有効であることがわかりました。一方、まとまった自由な時間が貴重であるのも事実です。
企業が優秀な人材を確保し、入社後の満足度を高めるためには、学生の不安に寄り添い入社へのモチベーションを高めるための積極的なフォローが求められるといえるのではないでしょうか。
参考資料
LIMO・U23編集部