来月10月15日は年金支給日です。2025年度は年金額が引き上げられましたが、物価高の影響で「年金だけでは生活が苦しい」と感じる高齢者は少なくありません。こうした中で、老後の年金を増やす方法として注目されているのが「繰下げ受給」です。
受給開始を65歳から遅らせることで、最大84%増額される仕組みとなっており、老後の家計を支える有効な手段になり得ます。
一方で、受給を遅らせる間の生活資金や、税・社会保険料の負担増といった課題もあるため、必ずしもすべての人に適した選択とはいえません。
本記事では、繰下げ受給の仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
1. 年金の「繰下げ受給」とは?
年金の「繰下げ受給」とは、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給開始を65歳より後に遅らせることで、受け取れる年金額を増やす制度のことです。
通常、老齢年金は65歳から請求すれば受給が始まります。しかし、希望により65歳以降75歳まで受給開始を繰り下げることが可能です。
その分、受給開始を遅らせた月数に応じて年金額が上乗せされ、一生涯にわたって増額された金額が支給されます。
「1ヵ月繰り下げるごとに0.7%」の増額率となっており、最長75歳まで繰り下げられます。