2. 【繰上げ受給】選ぶ人は「ごく少数」圧倒的多数が選ぶのは?
実際に年金を受け取っている人は、どのような選択をしているのでしょうか。厚生労働省の資料によれば、令和5年度末時点で老齢厚生年金を受給している人のうち、「繰上げ」を選んだ人は全体の0.9%にとどまります。一方、「繰下げ」を選んだ人は1.6%。結局のところ、9割を超える人が65歳からの受給を選んでいるのが現状です。
注目したいのは、繰下げを選択する人の割合が少しずつ増えてきている点です。長寿化の進展や老後資金への不安から、「年金を増額して将来に備えたい」と考える人が増えていると考えられます。
これに対して、繰上げを選ぶ人はごく少数派のままです。早めに受け取りたいというニーズは一定数ありますが、一度選ぶと大幅な減額が一生続くため、多くの人が慎重になっているといえるでしょう。こうした受給行動を踏まえると、「繰上げを選んだ場合に本人や配偶者にどんな影響が及ぶのか」を理解しておくことが重要です。