年金制度への懸念や将来の経済的な不安が大きくなる現代において、資産投資は生活に馴染んだ一般的なものになりつつあります。

政府統計によると、二人以上の勤労者世帯が保有する金融資産に占める有価証券の割合は年々増加し、2024年度には約19%に達しました。

二人以上世帯が保有する金融資産に占める有価証券の割合1/7

二人以上世帯が保有する金融資産に占める有価証券の割合

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要」

こうした中、安定的な資産形成の有効な手段として「積立投資」が注目されています。 特に、NISAのように非課税で長期投資ができる制度が普及し、その中で積立投資が推奨されていることも、関心の高まりを後押ししています。

秋の気配が深まる9月は、家計や将来の資産形成について見直すのにぴったりの季節です。涼しくなり、気持ちも落ち着くこの時期に、将来に向けた資産づくりを始めてみてはいかがでしょうか。

そこで今回は、新NISAのつみたて投資枠によって15年間の積立をした際のシミュレーションを、3パターンの積立額で行い、新NISA制度の特徴や投資を始める際のポイントを解説します。

実際に投資を行った場合の結果は利回りにより異なりますが、積立投資の参考としてご覧ください。

1. 【シミュレーション】月額5000円・2万円・4万円を「15年間」積立投資したら将来いくらになる?

今回は、3パターンの金額で積立投資をした際の、最終的な利益の差をシミュレーションしていきます。

【シミュレーションの前提条件】

  • 投資期間:15年間(50歳から65歳)
  • 年間利回り:3%
  • 投資方法:毎月定額投資
  • 投資金額:月5000円・2万円・4万円の3パターン

1.1 パターン1:積立額5000円

  • 総投資額: 90万円
  • 運用益: 23万円
  • 最終的な運用資産: 113万円

積立額5000円のシミュレーション結果2/7

積立額5000円のシミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

1.2 パターン2:積立額2万円

  • 総投資額: 360万円
  • 運用益: 94万円
  • 最終的な運用資産: 454万円

積立額2万円のシミュレーション結果3/7

積立額20000円のシミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

1.3 パターン3:積立額4万円

  • 総投資額: 720万円
  • 運用益: 188万円
  • 最終的な運用資産: 908万円

積立額4万円のシミュレーション結果4/7

積立額40000円のシミュレーション結果

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

1.4 積立額による将来資産の差

今回の結果では、月額の積立額を5000円・2万円・4万円の3パターンで設定し、利回りが3%の場合の最終利益を計算していきました。

結果として、運用益は23万円・94万円・188万円となり、積立額が増えるほど利益額も大きくなる傾向が見られました。

今回のシミュレーションでは、上記のように積立額が大きいほど利益も大きなものとなっていますが、これはあくまでも利回りが一定でプラスされていた場合の結果です。

投資である以上、元本が保証されているわけではなく、必ずしも利益が生じるとは限りません。

そのため、投資金額を大きくすることで、商品自体の価格が下落した際の資産の減少額も同様に大きくなるという点には注意が必要です。

元本割れの可能性も考慮に入れ、自身が許容できる範囲で積立額を決定することが大切です。

2. 積立額を決める際の注意点

積立投資を始める際に、毎月の積立金額をあらかじめ設定することは、将来の資産形成において非常に重要なステップです。

その理由のひとつは、毎月一定額を長期的に積み立てることで、短期的な価格変動の影響を抑えられる点にあります。価格が高いときには少なく、安いときには多く購入することになるため、結果的に平均購入単価が平準化される「ドル・コスト平均法」の効果が期待できます。

積立額を決める際の注意点とは5/7

積立額を決める際の注意点とは

出所:金融庁「NISA早わかりガイドブック」

積立金額は途中で変更することも可能ですが、価格変動リスクを抑えながら安定的に資産を形成するためには、できるだけ長期間にわたって一定額を継続することが望ましいとされています。そのため、家計に無理のない範囲で、継続可能な金額を事前に計画することが大切です。

一方で、「投資に回す余裕がない」と感じている方でも、NISA制度などを活用し、毎月の給与から自動的に一定額を投資に振り分ける「先取り貯蓄」の仕組みを取り入れることで、残った資金の中で生活設計を行うことが可能になります。これにより、「余った分を貯金する」という受動的な方法よりも、より効率的に資産形成を進めることができるのです。

まずは現在の収支状況を正確に把握し、無駄な支出がないか見直してみましょう。そして、ご家庭の経済状況に合わせた無理のない積立金額を設定することが、長期的な資産形成の第一歩となります。

3. 新NISAを活用するメリット

長期的で安定した積立投資を行いたい場合には、新NISA制度の活用がおすすめです。特に、投資初心者の場合、リスクを抑えながら投資を進めやすくなります。

ここからは新NISAを利用するメリットについて、簡単に解説していきます。

3.1 投資利益が非課税

NISA制度の最大のメリットは、投資による利益が非課税である点です。通常、株式や投資信託などで得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を利用すればこの税金がかかりません。

例えば、元金200万円で買った商品が300万円まで値上がりした時に売却すると、通常は100万円の利益から約20万円が税金として差し引かれて手元に受け取ることになります。しかし、NISA口座なら100万円の利益がそのまま手に入ります。

また、新NISAでは非課税保有期間が無期限となりました。

NISAは投資による利益が非課税6/7

NISAは投資による利益が非課税

3.2 少額でも積立投資ができる

新NISAのつみたて投資枠では、商品や証券会社によっては、毎月1000円程度から積立投資が可能です。そのため、資産運用初心者でも、無理のない範囲で投資を始めることができます。

3.3 初心者向け商品が豊富

つみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁が定めた「長期・積立・分散投資」に適しているという基準を満たしたものに限定されています。 その大半を、特定の市場指数への連動を目指すインデックスファンドが占めており、比較的リスクが分散された商品が中心となっています。

このように、あらかじめ商品が絞り込まれているため、投資の専門知識が豊富な方でなくても商品選びができる仕組みになっています。

以上のような点から、長期的な資産形成を検討する際の選択肢のひとつとして、制度の内容を理解したうえで活用を検討してみるのも良いでしょう。

4. おわりに

新NISA制度を活用した積立投資は、少額であっても老後の資産形成において非常に効果的な手段であることが今回のシミュレーションで明らかになりました。50歳から65歳までの15年間という短期間でも、例えば利回りが3%であれば毎月5000円の積立で23万円、2万円で94万円、4万円では188万円もの運用益を得ることができます。

積立額が増えるほど利益も大きくなりますが、その分、価格が下落した際の損失も大きくなる可能性があります。投資を続けるには、自分の生活に負担がかからない範囲で、無理なく継続できる金額を選ぶことが大切です。

将来への備えとして、まずは家計の収支を見直し、毎月どれくらいなら積立できるかを考えてみるのも一つの方法です。たとえ少額からでも、15年後には大きな差となって表れるはずです。

参考資料

斎藤 彩菜