秋晴れの空が広がり、紅葉の便りが聞かれはじめる季節となりました。

日々の食費や光熱費の値上がりが家計を圧迫するなか、年金暮らしのシニア世帯にとって、今後の生活費のやりくりは大きな課題です。

なかでも70歳代の二人以上世帯では、どのくらいの貯蓄をもって日々の生活を支えているのでしょうか。

本記事では、70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額や、厚生年金・国民年金の平均年金月額について詳しく解説します。

また、シニア世帯の生活意識や、最新の年金制度改正の動向についても触れますので、参考にしてみてください。

1. 【シニア世帯の生活意識】「生活苦しい」高齢者は55.8%

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の生活意識に関するリアルな結果を見ていきます。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

1.1 高齢者世帯の生活意識

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

この調査結果からは、シニア世帯の暮らし向きが、経済状況によって大きく3つの層に分かれている様子が見えてきます。

まず、半数以上(55.8%)が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答し、日々の生活に経済的な厳しさを感じています。

一方で、「ややゆとりがある」または「大変ゆとりがある」と回答した世帯は、合計してもわずか4.2%に留まりました。

経済的な余裕を実感できているシニア世帯は、ごく一握りであることが分かります。

そして、この両者の中間にあたるのが、40.1%を占めた「普通」と回答した層です。

この「普通」と回答した層の割合は、「苦しい」層には及ばないものの、「ゆとりがある」層を大きく上回っています。

このことから、経済的な余裕があるとは言えないものの、堅実に暮らしを維持している一定数のシニア世帯が、厚い中間層を形成している実態がうかがえます。