厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金を受給するシニア世帯のうち、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯は43.4%であることがわかりました。
シニア世帯の約6割が公的年金以外のお金が必要な状況にあると言い換えることができます。
年金が少ないのか、支出が多いのか…
この記事では、厚生労働省年金局の資料をもとに、厚生年金と国民年金の平均年金月額を確認していきます。
1. 日本の「公的年金制度」の仕組みをおさらい
「日本の年金制度は2階建て」と表現されることがあります。
1階部分にあたるのが「国民年金(基礎年金)」で、2階部分にあたるのが「厚生年金」です。
ここでは、まずそれぞれの年金制度の基本について整理していきましょう。
1.1 国民年金(1階部分)の加入対象者・保険料・受給額
- 加入対象者はどんな人?:原則として日本に住む20歳から60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)
- 年金保険料はいくら?:全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)
- 老後の受給額はどう決まる?:保険料を全期間(480カ月)納付すれば満額の老齢基礎年金を受給できる(※2)
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
1.2 厚生年金(2階部分)の加入対象者・保険料・受給額
- 加入対象者はどんな人?:会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした方
- 年金保険料はいくら?:収入に応じて(上限あり)変わる(※4)
- 老後の受給額はどう決まる?:加入期間や納めた保険料により個人差が大きく出やすい
※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
国民年金と厚生年金は、加入できる対象者や保険料の仕組み、将来受け取れる年金額などにそれぞれ違いがあります。
こうした違いを正しく理解したうえで、自分が受け取れる年金額を把握し、将来の収入を見通しながら生活設計を立てていくことが大切です。