「一人旅」は昔からありましたが、「一人カラオケ」などの「一人〇〇」という言葉は、近年よく耳にします。2018年には「ソロ充」や「ソロ活」など、ひとりで出かけたりして楽しむことをポジティブに捉えたワードも生まれるなど、「一人でいること」に肯定的な人が増えてきました。

そうした一人を楽しむ人をターゲットにした、「おひとりさま向けサービス」は2019年もますます広がりを見せそうです。最新の「おひとりさま向けサービス」には、どういったものがあるのでしょうか。

「一人焼肉」に長蛇の列!

現在、ブームの兆しを見せているのは「一人焼肉」専門店です。

2018年8月に東京・新橋に1号店をオープンした、おひとりさま専用焼肉店「焼肉ライク」では、オープン後、行列が絶えず、新宿や渋谷のほか、郊外にも出店を予定しています。日経トレンディ「2019年業界別ヒット予測」では「ソロ焼肉」という言葉が取り上げられており、話題となっています。

これまでも「一人焼肉」というのは、いわゆる「一人〇〇」の代表的な例でした。しかし、以前と違い、ブースが区切られたり、周りも「おひとりさま」であったりすることで、一人焼肉のハードルが下がり、需要が伸びているようです。

趣味から仕事まで「おひとりさま」

一人になれる空間を提供するサービスも増えてきています。2018年11月には、菱熱工業から一人専用のホットヨガルームが発売され、一部で話題となりました。

ほかにも、一人でラブホテルに泊まる「一人ラブホ」もじわじわと注目を集めています。ラブホテルは普通のホテルよりも安い料金で充実したサービスや豪華な部屋を利用できるため、自分へのご褒美として「一人ラブホ」をする人が増えているようなのです。

また、2018年には期間限定で、駅にも「おひとりさま空間」が登場しています。駅ナカに電源やWi-Fiが備えられた、おひとりさま用のワークスペースが設置されているのです。「合間の時間もムダにすることなく仕事ができる」として、鉄道各社が実験的に導入しました。東京メトロでは実験期間がすでに終了していますが、JR東京駅・新宿駅・品川駅では、2019年2月20日まで無料で利用することができます。

以前は肩身の狭さから「便所飯」

これまでは、一人でごはんを食べるのが恥ずかしくて、トイレでごはんを食べる「便所飯」のように、一人で「何かやること」は、多くの場合、否定的に捉えられてきました。たとえば、ネットで「一人〇〇」と検索すると、

「一人〇〇はさみしくなるからできない」
「一人〇〇は勇気がいる」
「勝手がわからなくて挙動不審になるので一人は無理……」

といった意見が数多く出てきます。

「一人〇〇」への意識が変わった?

しかし、その一方で、

「一人〇〇のほうが気楽でいい」
「一人の時間にしかない充実感がある」
「思い立ったら即行動できるのがいい」

と肯定的な意見も多く見られるようになってきました。

スマートフォンやSNSの普及により、「常時接続社会」と言われる現代。ネットでは「常に誰かとつながっている状態を断ち、ひとりになりたい」という人も多いのかもしれません。また、「ネットで趣味や好きなものが似ている人とつながり、リアルの空間ではひとりで十分」という人もいるでしょう。こうして、「おひとりさま向けサービス」のニーズが高まっているというのは、現代人の人との関わり方を示しているのかもしれません。

今後も拡大しそうな「おひとりさま」市場に注目したいところです。

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