5.4 世帯主が65歳以上の無職世帯の貯蓄の種類別貯蓄現在高の推移(二人以上の世帯)
ここからは、世帯主が65歳以上の「無職世帯」に絞って、貯蓄額とその内訳の推移を見ていきましょう。
【65歳以上の無職夫婦世帯】平均貯蓄額の推移
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
- 2024年:2560万円
65歳以上の無職二人以上世帯の貯蓄額は、近年増加傾向にあります。2020年までは2200万円台でしたが、2021年に2300万円を超え、2023年以降は2500万円台をキープしています。
2024年の貯蓄内訳のうち、最も割合が大きいのは定期性預貯金859万円(33.6%)です。そして普通預金などの通貨性預貯金が801万円(31.3%)、有価証券(株式や投資信託など)が501万円(19.6%)となっています。
低リスクの預貯金が貯蓄全体の約6割を占める一方で、前年からの増え幅を見ると、通貨性預貯金は+47万円(6.2%増)、有価証券は+21万円(4.4%増)となっています。
預貯金だけでなく資産運用への関心が高まっている様子もうかがえます。
このデータからも分かるように、老後資金は預貯金だけでなく、運用資産もバランス良く持つことが大切です。
特に現役のうちに少額からでも運用を始めれば、長期的な複利効果が期待できます。今から始められる制度や運用方法を知り、自分に合った形で資産形成を進めていきましょう。
6. 50代だからこそ間に合う、自分らしい備えとは
老後生活を赤字にしないために、今からできる3つの行動を紹介してきました。調査データからは、一部シビアに感じられる現実も見えてきたかもしれません。
しかし、50代はまだ老後まで時間があり、今から準備を始めれば十分に間に合います。今できることを整理し、行動に移すことで、不安が安心に変えることができるかもしれません。
また、老後資金の備えは生活の安定だけでなく、旅行や趣味、家族との時間といった「やりたいことを叶える老後」にもつながります。
今回ご紹介した3つのうち、まずは始めやすいものから取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 内閣府「令和7年版高齢社会白書」
- 厚生労働省「生涯現役支援窓口事業」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
三石 由佳