5. 50代の今からできる3つの行動【その3】資産を育てる
3つ目は、資産を育てる、です。支出を減らすことと、備えをつくることを両軸で考えていくと良いでしょう。
生活費を見直し、固定費削減や無駄な支出の見直しを習慣化することで、貯蓄に回すことができる資金を用意できます。
また、可能な範囲で元本確保型ではない金融商品を活用することで、資産を育てていくことも良いでしょう。
では、実際に65歳以上の人たちはどれくらいの貯蓄を持っているのでしょうか。最新の調査結果を見てみましょう。
5.1 世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布 (二人以上の世帯)
総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると、65歳以上の世帯主がいる二人以上世帯の平均貯蓄額は2509万円でした。
ただしこの「平均」は、ごく一部のお金持ち世帯よって大きく引き上げられている可能性があるため注意が必要です。
5.2 世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高(二人以上世帯)平均・中央値
- 平均値:2509万円
- 貯蓄保有世帯の中央値:1658万円
そもそも平均値は一部の大きな値に引き上げられる傾向があります。より実態に近い貯蓄保有世帯の中央値を見ると、1658万円にまで下がります。
5.3 世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高の金額別世帯分布 (二人以上世帯)
貯蓄額の世帯分布も見てみましょう。
- 100万円未満:8.1%
- 100万円~200万円未満:3.6%
- 200万円~300万円未満:3.1%
- 300万円~400万円未満:3.6%
- 400万円~500万円未満:3.3%
- 500万円~600万円未満:3.3%
- 600万円~700万円未満:2.9%
- 700万円~800万円未満:2.8%
- 800万円~900万円未満:3.3%
- 900万円~1000万円未満:2.5%
- 1000万円~1200万円未満:4.8%
- 1200万円~1400万円未満:4.6%
- 1400万円~1600万円未満:5.1%
- 1600万円~1800万円未満:3.3%
- 1800万円~2000万円未満:3.3%
- 2000万円~2500万円未満:7.4%
- 2500万円~3000万円未満:5.8%
- 3000万円~4000万円未満:9.4%
- 4000万円~:20.0%
貯蓄額別の世帯分布を詳しく見てみましょう。
貯蓄2000万円超の世帯が全体の42.6%を占め、特に4000万円超の世帯は20.0%に上ります。
一方で、貯蓄200万円未満の世帯も11.7%存在し、貯蓄が少ない世帯も決して少なくありません。
また、中央値である1658万円に満たない世帯は全体の51.0%に達しており、半数以上の世帯が十分な貯蓄を確保できているとは言えない現状が明らかとなっています。
平均値だけを見るとシニア世帯は豊かに見えますが、内訳を詳しく見ると、貯蓄が十分とはいえない世帯が半数以上を占めていることがわかります。
なお、このデータは、無職世帯と有職世帯を合わせた全体の結果です。