2. 【70歳代】「貯蓄3000万円以上」と「貯蓄ゼロ」の世帯、どっちが多いかの結論
調査結果を見ると、貯蓄ゼロ世帯は20.8%、貯蓄3000万円以上世帯は19.0%と、わずか1.8ポイントの差で「貯蓄ゼロ」の方がやや多いという結果になっています。
数字だけを見れば大差はないように見えますが、これは老後世帯の生活実態の二極化を如実に示しています。
2.1 貯蓄ゼロ世帯の意味
ここでいう「貯蓄ゼロ」とは、預金や株、投資信託といった金融資産をまったく持っていない状態のことです。
この層の多くは、年金だけで生活をやりくりしていて、もし医療費や家の修理など思わぬ出費があったときに備えがきかないリスクを抱えています。
しかも、この割合が2割を超えているというのは、つまり 5世帯に1世帯が“貯金のクッションなし”で老後を過ごしている ということなのです。
2.2 3000万円以上世帯の意味
一方で、3000万円以上の貯蓄がある世帯は、退職金や相続、長年の資産運用などでコツコツ資産を築いてきた人たちです。
3000万円あれば、毎年100〜150万円ずつ取り崩しても20年以上は生活費をまかなえる計算になり、老後の安心感や選択肢はぐっと広がります。
全体で見るとこの層はおよそ2割ですが、生活のゆとりやお金の使い方の自由度では、平均的な世帯や貯蓄ゼロの世帯と比べて大きな差があります。
この2つの層がほぼ同じ割合というのは、実は「中間層が薄くなっている」ことを物語っています。
つまり、「しっかり貯めて安心している人」と「ほとんど備えがなく不安を抱える人」が同じくらいいる、という状況なのです。老後の暮らし方の「差」が大きく広がっていることがわかります。
この“ほぼ同数”という数字はただの偶然ではありません。老後資金の準備のあり方や収入の仕組みに深く関わる、大きな社会の課題を映しているのです。