70歳代の二人以上世帯では、「3000万円以上の貯蓄がある世帯」と「まったく貯蓄がない世帯」が、それぞれ約2割ずつ存在します。
一方はゆとりある生活を維持できる可能性が高いのに対し、もう一方は年金やわずかな収入だけで日々の生活費をまかなう厳しい現実があります。
同じ年代であってもこれほどまでに差が生まれる背景には、何があるのでしょうか。
この記事では、最新調査をもとに70歳代世帯の貯蓄状況を比較し、老後資金の二極化が進む理由を探ります。まだまだ暑い日が続いていますが、もうすぐ9月。過ごしやすい季節に、自身の老後資金について考えていきましょう。
1. 【70歳代・二人以上世帯の貯蓄額】二極化する貯蓄状況
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の最新調査によれば、70歳代の夫婦世帯における平均貯蓄額は約1923万円、中央値は約800万円とされています。
これは、多額の貯蓄をもつ世帯が平均値を押し上げている一方、多くの世帯は中央値あたりの貯蓄にとどまっていることを示しています。
1.1 「貯蓄ゼロ」世帯は20.8%
なお、同調査では、貯蓄がまったくない世帯(金融資産非保有世帯)は全体の20.8%と、5世帯に1世帯が貯蓄なしという実態が明らかになっています。
1.2 一方で「貯蓄3000万円以上」は18.9%
一方、70歳代以上の世帯で貯蓄3000万円以上の割合は19.0%。
これは「貯蓄ゼロ」とほぼ同じくらいの割合で存在し、およそ5世帯に1世帯が該当する計算です。