3. 介護費用として必要な貯蓄額はいくら?どうやって備える?

介護は、いつ始まるか・どのくらい続くか予測が難しいため、まとまった予備資金をあらかじめ用意しておくことが重要です。

先述の、公益財団法人 生命保険文化センターが2024年度に行った調査から、介護にかかった月々の平均費用は約9万円×介護期間の平均は5年1ヶ月(55ヶ月)=495万円とされています。

この試算を目安として、500万円程度を「介護専用資金」として確保し、生活費や旅行資金などとは完全に別枠で管理しておくのがおすすめです。

さらに、以下のポイントも意識しながら、貯蓄をしておきましょう。

  • 長期化リスクの備え:認知症や寝たきりが続けば10年以上介護が必要になることもあります。
  • 資金管理の工夫:普通預金や定期預金だけでなく、流動性の高い金融商品(短期国債、個人向け国債変動型など)を活用することで、急な出費にも対応可能です。
  • 使途を明確化:介護費用にしか使わないと決めておくことで、将来の安心感が高まります。

3.1 民間保険で備える

公的介護保険では賄いきれない費用を補う手段として、民間の介護保険や認知症保険があります。これらは介護状態(要介護2以上など)や認知症の診断確定時に、一時金や毎月の給付金が受け取れる仕組みです。

給付タイプの違い

  • 一時金型:介護開始時にまとまった資金が必要な場合に有効(住宅改修、福祉用具購入など)
  • 年金型:毎月の介護費用の補填に適しており、長期介護にも対応しやすい

加入時期のポイント

保険料は加入年齢が上がるほど高くなり、持病があると加入できない場合もあります。50代前半までに検討を始めるのが理想です。

見直しの重要性

すでに生命保険や医療保険に加入している場合でも、介護リスクに十分対応できているか確認が必要です。不要な保障と不足している保障を見極め、プランを最適化します。

3.2 公的支援制度の活用

介護費用の負担軽減には、公的介護保険や各種支援制度の利用が欠かせません。制度の内容や条件を理解しておくと、自己負担額を大幅に抑えられます。

介護保険サービス

65歳以上(特定疾病がある場合は40歳以上)で要介護認定を受けると、訪問介護・訪問看護・デイサービス・短期入所などのサービスを自己負担1〜3割で利用可能。

例)要介護2の在宅介護で、毎月約12万円かかるサービス利用料が自己負担2万〜4万円程度に軽減されるケースもあります。

高額介護サービス費制度

1カ月に支払った自己負担額が所得区分ごとの上限額を超えた場合、超過分が払い戻される制度。特に重度の介護が続く場合に有効です。

例)一般所得者世帯での上限額は月3万7200円(2025年現在)。

特定入所者介護サービス費

低所得者が施設介護(特別養護老人ホームなど)を利用する際に、食費・居住費の自己負担を軽減する制度。条件として、本人と配偶者が住民税非課税であることなどが求められます。