6. 《源泉徴収の対象ならない》年金額「158万円未満→205万円未満」に引き上げ
現役時代の給与と同じく、老齢年金からも天引きされる税や社会保険料があります。所得税もそのひとつです。
所得税の基礎控除額が「令和7年度税制改正」で改定されたことにともない、公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額が、「158万円未満→205万円未満」に引き上げられました。(65歳未満は「108万円未満→155万円未満」に引き上げ)
令和7年分の公的年金における源泉徴収額の計算に用いる基礎控除額は以下の通りです。
6.1 【年齢別】《2025年の公的年金》源泉徴収額の計算に用いる「基礎控除額」
65歳以上
- 2025年12月の精算時
- 公的年金等の月割額×25%+10万円(16万5000円未満となる場合は、16万5000円)
- 2025年の各月の年金支払い時
- 公的年金等の月割額×25%+6万5000円(13万5000円未満となる場合は、13万5000円)
65歳未満
- 2025年12月の精算時
- 公的年金等の月割額×25%+10万円(12万5000円未満となる場合は12万5000円)
- 2025年の各月の年金支払い時
- 公的年金等の月割額×25%+6万5000円(9万円未満となる場合は9万円)
6.2 2025年分の所得税「源泉徴収と還付イメージ」
この改正により、2025年12月の年金支払い時に「1年間の最終的な税額」と「それまでに源泉徴収された税額」との間で精算がおこなわれ、過払い分が生じていた場合は、その差額が還付されます。
7. 今のうちから老後に向けた資金計画を立てておくようにしましょう
ここまで【老齢年金一覧表】をもとに、60歳~90歳以上のシニア世代が受給している「国民年金のみ」「厚生年金+国民年金」の平均月額をご紹介しました。
また《社会保険の加入対象の拡大》による「106万円の壁」や、《源泉徴収の対象ならない》年金額が「158万円未満→205万円未満」に引き上げられたことについて解説しました。
国民年金のみを受給する場合、64歳までの方の平均年金月額は約4万円台、65歳以上の方は約5万円台となっています。
なお、65歳以上で「国民年金と厚生年金を両方受給する方」は、平均年金月額が14万円台~16万円台です。
現役時代の年金加入期間や収入などにより、老後受給できる年金額が変わってきますが、税金や社会保険料が天引きされるため、手取り額は平均月額よりも少なくなることが考えられます。
このまま物価が上がり続けた場合、生活費の負担がさらに増す可能性が考えられるため、今のうちから老後に向けた資金計画を立てておくようにしましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構 年金用語集「は行 被用者年金」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます。」
マネー編集部年金班