2. 後期高齢者の「医療費2割負担」が導入された理由
後期高齢者の医療費の負担割合が1割から2割に増えたのは、社会保障費の増加を賄うためです。
過去の社会保障給付費の推移を見ると、費用は増加傾向です。以下のグラフ画像のとおり、1990年時点では約47兆円だったのが、2025年(予算ベース)では約140兆円まで増えています。
また、社会保障負担の国民負担率も増加傾向です。1990年の時点では10.6%ですが、2024年時点では18.4%と、国税・地方税に比べて大きく増えています。(詳細以下画像)
こうした状況から、保険料を納める現役世代の負担は大きくなっています。
現在は現役世代の保険料が後期高齢者への給付として利用される「世代間の支え合い」で社会保障が成り立っています。しかし、2025年は団塊世代が後期高齢者となり、社会保障費の増加は避けられないでしょう。現役世代の負担が増えているのは明確です。そこで「世代内の支え合い」の考えに基づき、一部の人の医療費負担を2割に引き上げたのです。
次章では、医療費が2割負担になる年金収入額を解説します。