2. 【働き世代必見】標準報酬月額の上限引き上げがもたらすもの

今回の改正の見直しポイントの中で、特に働き盛りの現役世代に関わり深い「保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ」について紹介します。

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

現在、社会保険料や将来の年金給付額を算定する基準となる「標準報酬月額」には上限が設けられています。この上限のために、高収入の方々は、実際の賃金と比べて保険料の負担割合が相対的に軽くなっていた一方で、「せっかくたくさん稼いでいるのに、将来もらえる年金が収入に見合わない」という課題がありました。

しかし、この状況が改善されることに。賃金水準の継続的な上昇が見込まれる中、より公平な制度を目指すべく、この標準報酬月額の上限が見直されることになったのです。今回の見直しでは上限に該当する方々が、本来の賃金に見合った保険料を納めることで、将来より多くの年金を受け取れるようになることを目指しています。

具体的には、2025年に成立した改正法に基づき、標準報酬月額の上限額は以下の通り段階的に引き上げられる予定です。

  • 2027年9月:月68万円
  • 2028年9月:月71万円
  • 2029年9月:月75万円

この新しい上限に該当する方は、足元の保険料負担は増えますが、その分、将来の年金受給額が増加することになるといえるでしょう。 これは、高収入の方にとって、現役時代の賃金が老後の生活にしっかりと反映される、という大きなメリットといえます。さらに、今回の見直しによって厚生年金制度全体の財政基盤が強化され年金額の低い方々を含めた厚生年金全体の給付水準の底上げにも繋がるため、社会全体にとっても恩恵のある変更となります。