3. 「ゆとりある老後」は実現可能?必要な月の生活費は
生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」によれば、老後の最低日常生活費は平均で月23.2万円。
ゆとりある老後生活を送るための費用として上乗せが必要な金額は平均で月14.8万円となっており、合計すると「ゆとりある老後生活費」は平均で月37.9万円にもなります。
先ほどの平均支出は月28万6877円でしたから、ゆとりある老後生活を送るには月約10万円足りません。
また、先ほどの月約3万円の赤字を考えると、平均で考えればゆとりある老後生活を過ごすには月約13万円不足していることになります。
男女ともに厚生年金に加入していたとしても、平均であわせて約27万円ほど。公的年金がいくら出るかも重要ですが、月38万円の収入となると年金以外の収入も必要となります。
もちろん「ゆとりとは何か」「何に、いくら求めるか」は人によりそれぞれ。あくまで平均ですので、ご自身に照らし合わせて考えてみましょう。
4. 資産運用のメリット・デメリット
これまでの平均額をみて、老後に向けて資産運用の必要性を感じた方もいるでしょう。
運用すれば効率よく貯蓄を増やせる可能性があるほか、毎月発生する恐れがある赤字を補填できるかもしれません。一方で、資産運用はリスクがあり、メリットばかりではなくデメリットもあります。
今回は代表的な資産運用のメリット・デメリットを簡単に紹介します。
4.1 株式投資
最大のメリットは株価上昇によって短期間で大きな収益を得られる可能性があることです。また、対象となる企業や保有株数、保有タイミングによっては配当金や株主優待を受け取ることもできます。
ただし、値動きが大きく、株価が下落すれば大きな損失を被る場合もあります。また特定の株式のみを買い付ける場合には集中的な投資になるためリスクが高くなります。
4.2 投資信託
投資信託は専門家が代わりに運用してくれ、かつ少額で始められるため、比較的初心者でもはじめやすいでしょう。投資対象は分散されていますが、投資する資産や地域などによってリスクはさまざまなので、よく調べて選ぶ必要があります。
また、保有中や売却時に手数料が発生する場合もあるので事前に確認しましょう。
他にもさまざまな資産運用がありますが、iDeCoやNISAといった運用益が非課税になる制度から検討するとよいでしょう。
これを機に老後生活とその対策について考えてみてください。
参考資料
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 生命保険文化センター「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」
宮野 茉莉子