来月8月15日は今年4回目の年金支給日ですが、「年金のもらえる金額はどのように決まるのか?」ご存じでしょうか。
今回は厚生年金の受給額の決まり方や、受給額の多い都道府県、少ない都道府県、また国民年金の都道府県別の平均年金月額などを詳しく見ていきます。
1. 【厚生年金】全国平均はいくら?
会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たす人は、老齢厚生年金+老齢基礎年金(国民年金)の併給となります。
厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金部分を含む)の全受給権者(※2)の平均年金月額は14万6429円でした。
ただし、男女差・個人差があり、実際に受け取る金額は一人ひとり違います。
※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む
1.1 厚生年金受給額の個人差
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
このように、厚生年金は幅広い受給額層に分布しています。同時に平均年金月額の「都道府県差」もあるのです。
2. 【都道府県ランキング発表】厚生年金「多い・少ない都道府県」
厚生年金の平均受給額は、都道府県で差があります。では、平均年金月額が「多い都道府県」「少ない都道府県」はどこなのでしょうか。
厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、ランキング形式で見ていきましょう。
2.1 厚生年金の平均年金月額が多い都道府県ベスト5
- 1位 神奈川県:16万6578円
- 2位 千葉県:16万1368円
- 3位 東京都:15万9921円
- 4位 奈良県:15万8862円
- 5位 埼玉県:15万8003円
2.2 厚生年金の平均年金月額が少ない都道府県ベスト5
- 1位 青森県:12万4383円
- 2位 沖縄県:12万5435円
- 3位 秋田県:12万5476円
- 4位 宮崎県:12万5499円
- 5位 山形県:12万7133円
- 北海道:13万7572円
- 青森県:12万4383円
- 岩手県:12万9036円
- 宮城県:14万1145円
- 秋田県:12万5476円
- 山形県:12万7133円
- 福島県:13万2776円
- 茨城県:14万9104円
- 栃木県:14万5522円
- 群馬県:14万4777円
- 埼玉県:15万8003円
- 千葉県:16万1368円
- 東京都:15万9921円
- 神奈川県:16万6578円
- 新潟県:13万4716円
- 富山県:14万631円
- 石川県:13万7933円
- 福井県:13万6578円
- 山梨県:14万869円
- 長野県:14万743円
- 岐阜県:14万6072円
- 静岡県:14万7916円
- 愛知県:15万6775円
- 三重県:14万8059円
- 滋賀県:15万657円
- 京都府:14万8015円
- 大阪府:15万2686円
- 兵庫県:15万5454円
- 奈良県:15万8862円
- 和歌山県:14万2713円
- 鳥取県:12万9703円
- 島根県:13万1円
- 岡山県:14万2579円
- 広島県:14万7044円
- 山口県:14万4503円
- 徳島県:13万383円
- 香川県:14万453円
- 愛媛県:13万6630円
- 高知県:12万8607円
- 福岡県:14万2104円
- 佐賀県:13万480円
- 長崎県:13万3329円
- 熊本県:12万8956円
- 大分県:13万2853円
- 宮崎県:12万5499円
- 鹿児島県:12万9639円
- 沖縄県:12万5435円
都道府県別の平均年金月額において1位の神奈川県と47位の青森県では、その差は月額4万円以上になります。年間で考えると50万円を超えるため、地域ごとの格差は小さいとはいえないでしょう。
もちろん、厚生年金の受給額は居住地によって一律に決まるわけではありません。では、なぜ都道府県によって差があるのでしょうか。
その理由は、厚生年金受給額の決まり方にあります。
3. 【厚生年金】もらえる金額はどのように決まるのか?
厚生年金の受給額は、現役時代の報酬と、年金加入期間が反映されるため、個人差が出やすくなっています。
厚生年金の報酬比例部分は、以下の計算式の合計で決まります。
- A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
- B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
厚生年金の受給額は「現役時代の報酬(収入)」と「加入期間の長さ」に応じて決まります。この仕組みが、そのまま都道府県ごとの年金額の差に繋がるのです。
また、都市部は賃金水準が高い傾向があるほか、地域によって自営業や共働き世帯の比率も異なります。
こうした現役時代の働き方の違いが、年金の平均受給額の差として表れているのです。
4. 【国民年金】月額平均はみんな同じ?
国民年金の受給額は、「国民年金保険料の納付済月数」によって決まります。そのため個人差や男女差、都道府県ごとの格差も厚生年金ほど大きくありません。
参考までに、国民年金(老齢基礎年金)における都道府県ごとの平均年金月額を見てみましょう。
4.1 都道府県別「老齢基礎年金」の平均年金月額
- 北海道:5万6723円
- 青森県:5万5369円
- 岩手県:5万8866円
- 宮城県:5万7706円
- 秋田県:5万7299円
- 山形県:5万8954円
- 福島県:5万8101円
- 茨城県:5万7604円
- 栃木県:5万7749円
- 群馬県:5万8791円
- 埼玉県:5万7252円
- 千葉県:5万7597円
- 東京都:5万6584円
- 神奈川県:5万7597円
- 新潟県:6万113円
- 富山県:6万1220円
- 石川県:6万170円
- 福井県:6万532円
- 山梨県:5万7477円
- 長野県:6万262円
- 岐阜県:5万9501円
- 静岡県:5万9398円
- 愛知県:5万8290円
- 三重県:5万9675円
- 滋賀県:5万9435円
- 京都府:5万6525円
- 大阪府:5万5463円
- 兵庫県:5万7447円
- 奈良県:5万7246円
- 和歌山県:5万6067円
- 鳥取県:5万9770円
- 島根県:6万497円
- 岡山県:5万9891円
- 広島県:5万9286円
- 山口県:5万9406円
- 徳島県:5万7095円
- 香川県:6万25円
- 愛媛県:5万8059円
- 高知県:5万6268円
- 福岡県:5万6622円
- 佐賀県:5万9344円
- 長崎県:5万6876円
- 熊本県:5万8172円
- 大分県:5万6685円
- 宮崎県:5万7571円
- 鹿児島県:5万7963円
- 沖縄県:5万2837円
国民年金(老齢基礎年金)の受給額は5~6万円台となっています。なお、全国平均は5万7700円です。
この年金収入だけで老後の生活をまかなうのは、現実的に厳しいと感じる方も多いでしょう。
そのため、厚生年金の上乗せが見込めない方(自営業やフリーランスなど)はとくに、現役時代から計画的に資産形成を進めていくことが大切となります。
5. 将来の年金受給額に影響大!「106万円の壁ってなに?」
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」には、アルバイト・パートなどの働き方と関わりが深い、いわゆる「年収106万円の壁」を撤廃する改正が含まれています。
5.1 「年収106万円の壁」とは?
「106万円の壁」とは、パート・アルバイトなどの短時間労働者が年収が106万円以上になると、社会保険(健康保険・厚生年金)の扶養から外れ、自分自身で保険料を支払う義務が発生する目安です。
保険料負担により手取りが減ることから、収入が基準額を超えないよう労働時間をコントロールする「働き控え」が生じる原因の一つとされてきました。
また、社会保険の適用対象となる企業規模はこれまで段階的に拡大されてきており、2024年10月からは「51人以上」の事業所となっています。
今回の改正では「3年以内の賃金要件の撤廃」と「10年かけて企業規模要件の段階的撤廃」がおこなわれることが決まりました。
5.2 「社会保険の加入対象の拡大」短期労働者の加入要件の見直し
2025年7月現在、パートタイムなどで働く短時間労働者が社会保険に加入する要件は、以下の5つをすべて満たす必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
- 所定内賃金が月額8万8000円以上(賃金要件)
- 従業員数51人以上の企業で働いている(企業規模要件)
今回の改正により、このうち4の「賃金要件」と5の「企業規模要件」が撤廃されます。
いわゆる「106万円の壁」は、全国の最低賃金の引き上げ具合を見極めながら、3年以内に廃止へ。社会保険に加入する企業の規模は、10年かけて段階的に拡大されます。
6. まとめにかえて
今回は厚生年金の受給額の決まり方や、受給額の多い都道府県、少ない都道府県、また国民年金の都道府県別の平均年金月額などを詳しく見てきました。
厚生年金の受給額が多い都道府県ベスト5では、奈良県を除いて東京都を含む関東の都市部がランキング上位を占めています。これは、厚生年金の受給額は現役時代の収入や年金に加入していた期間が大きく影響することが原因としてあげられます。一般的に現役時代に収入が高かった方は将来受け取る年金額も高い傾向にあります。
そのため地方に比べ給与水準も高い傾向にある東京などの関東都市部は、年金額も他の地方に比べて受給額の水準が高くなっています。一方、国民年金については収入など関係なく納める年金保険料は皆一律です。また、将来の年金額は年金保険料を納めた期間に応じて決まるため都道府県別で見ても差異はあまり見受けられませんでした。
老後の生活にしっかり備えたいという方は、本記事で取り上げた都道府県別の平均年金受給額はあくまで参考程度にとどめて、ねんきんネットやねんきん定期便でご自身の将来の年金見込額を確認して、老後資金準備にとりかかりましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構 年金用語集「は行 報酬比例部分」
- 厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」に関するQ&A(キャリアアップ助成金関係)
鶴田 綾
