4. 60歳・70歳代の約3割が「年金だけで日常生活費程度もまかなうのが難しい」
J-FLEC(金融経済教育推進機構)が実施した「家計の金融行動に関する世論調査2024年」によると、60歳代・70歳代の二人以上世帯のうち、年金だけで「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と感じている人が3割以上にのぼることが明らかになりました。
多くの高齢者が「年金にゆとりがない」と感じている背景には、次のような要因があります。
- 食料品や光熱費など生活必需品の物価上昇
- 高齢化による医療費や介護費の自己負担増
- 増税や社会保険料の実質的な負担増加
2025年度は年金額が引き上げられていますが、物価上昇率を考慮すれば実質的な購買力はむしろ低下しているのが現実です。
今後もインフレが継続すれば、年金生活を取り巻く環境はさらに厳しさを増す可能性があるでしょう。
5. まとめにかえて
年金生活者支援給付金は、年金収入やその他所得が一定水準以下の高齢者にとって、生活を支える重要な制度です。
2025年度は物価上昇に対応する形で給付基準額が引き上げられたものの、実質的な購買力は依然として厳しい状況にあります。
この給付金は申請しないと受け取れない仕組みであるため、自分や家族が対象となる可能性がある場合は、年金請求時や送付されるはがき型請求書を通じて、忘れずに申請手続きを行うことが重要です。
制度を正しく理解し、受け取れる支援は確実に受け取りましょう。
参考資料
- 厚生労働省「「年金生活者支援給付金制度」について」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求手続きのご案内(令和6年度)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
加藤 聖人