2. 入居への拒否感は7割弱…高齢者が賃貸に住みにくい理由

内閣府の「令和7年版 高齢社会白書」によると、賃貸人(大家等)の高齢者の入居に対する意識は、7割弱が「拒否感がある」と回答しています。

高齢者の入居に対する賃貸人(大家など)の意識

高齢者の入居に対する賃貸人(大家など)の意識

出所:内閣府「令和7年版 高齢社会白書」

  • 従前と変わらず拒否感はない:27%
  • 従前は拒否感があったが現在はない:7%
  • 拒否感はあるものの従前より弱くなっている:44%
  • 従前と変わらず拒否感が強い:16%
  • 従前より拒否感が強くなっている:6%

「拒否感はあるものの弱くなっている」と回答している人が44%いるため、以前よりも賃貸物件への高齢者の受け入れは進んでいるものの、高齢者の賃貸物件への入居は決して簡単なものではありません。

高齢者が賃貸物件に住みにくい理由としては、以下のことが考えられます。

  • 家賃の滞納リスクが高い
  • 孤独死の可能性が高い
  • 病気などによる心身機能の低下の恐れがある

高齢者は基本的に年金が生活の収入源になります。年金額は現役時代に収めた保険料によって金額が決まるうえ、給与よりも低い金額がほとんどのため、年金額が少ないと、お金が底をつき家賃を支払えない可能性が高まります。また、病気や介護で支出が増えると、家賃に充てられるお金がない場合もあるでしょう。

孤独死の可能性があるのも、高齢者が賃貸物件に入りにくい理由のひとつです。単身の高齢者が入居し体調を崩したり病気になったりすると、大家が気づかないうちに亡くなっている可能性があります。

発見が遅れてしまうと、特殊清掃や原状回復に大きな費用がかかります。場合によっては事故物件とみなされる可能性もあり、不動産の価値自体が下がってしまうこともあるのです。

さらに、トラブルの可能性が増えるのも懸念点です。病気などで心身機能が低下すると、火の不始末や騒音、悪臭などさまざまなトラブルが起こりやすくなります。こうしたトラブルの対処は物件の管理人である大家等がしなければならず、余計な手間が増えてしまいます。

高齢者への入居にいまだに拒否感が残るのは、こうした理由があるからでしょう。では、老後のすまいはどのような選択を取ればよいのでしょうか。次章で解説します。