5月頃に自治体から固定資産税の書類が届いた人は多いのではないでしょうか。持家がある人は固定資産税がかかるため、必ず期限までに納めるようにしましょう。

内閣府の「令和7年版 高齢社会白書」によれば、65歳以上の約8割が一戸建ての家を所有しています。しかし、高齢になると持家には次第にデメリットが目立つようになります。すまいは老後生活を考えるうえでも重要なもの。安心して暮らすにはどのような選択肢があるのでしょうか。

この記事では、高齢者のすまいに関する課題や注意点、安心して暮らすための選択肢を解説します。

1. 【高齢者のすまい事情】持家のデメリット

持家があることで生じるデメリットとしては、以下のことが考えられます。

  • 税金や修繕などで維持費がかかる
  • 継ぐ人がいないと空き家になってしまう

持家があると、固定資産税や都市計画税がかかります。固定資産税は不動産を所有している人に課税される税金です。一方、都市計画税は、市街地など自治体が定める「市街化区域」に住んでいる人に課税されます。

また、住宅が火災などの災害によって被害に遭った場合に補償が受けられる火災保険料、外壁や給湯器、キッチンといった住宅の修繕費などもかかります。火災保険料は毎年一定額、修繕費は数年に一度まとまった金額がかかるため、ある程度の費用を備えておかなければなりません。

加えて、持家を子どもや親族に継がないまま放置してしまうと、空き家となってしまいます。内閣府の「令和7年版 高齢社会白書」によれば、2023年時点の空き家の件数は385万6000戸となっており、1998年(182万5000戸)の2倍となっています。

空き家になると税金だけが不用意にかかり、毎年のように管理費を支出しなければなりません。高齢になると、庭の手入れや掃除など、住宅自体の管理にも必要以上に手間がかかるでしょう。衛生環境の悪化などにより周辺に住む人にも悪影響を与えるため、持家は適切な管理や処分が求められます。

次章では、高齢者が賃貸に住みにくい理由を解説します。