1.2 【支出面】「60歳代は生活水準の見直し」など調整の動きあり

現在の1か月あたりの生活費

現在の1か月あたりの生活費

出所:内閣府「令和7年版高齢社会白書(全体版)」

60〜69歳の「現在の1か月あたりの生活費」としてかかる支出金額の分布について解説します。
※「生活費」は食費、住居の設備補修・維持費、光熱・水道費、家具・家事用品費、被服及び履物費、保健医療費、交通・通信費、教育費、教養娯楽費などを指しており、家賃・住宅ローンは含みません。

60歳代前半の男性では、生活費は30万円以上の世帯が32.2%と最も多く、生活費25万円以上に広げると46%にのぼります。まだ現役収入が残る中で、レジャーや交際費なども含めた比較的ゆとりある暮らしが続いている様子がうかがえます。一方、後半になると、収入の減少とともに生活費がやや抑えられ、30万円以上は26.8%、25万円以上で40%と約4割にやや減少します。収入と支出のバランス調整が必要となる時期といえるでしょう。

女性は60歳代前半では支出が分散していますが、25万円以上使っている世帯が約30%と意外に多く、家計のスタイルは家庭によってさまざまです。ところが後半になると収入の大きな変化がない一方で、生活費が25万円以上の割合が増えており、貯蓄を取り崩しながら生活している世帯も少なくないと考えられます。

収入が減り、生活費を調整する60歳代は、これまでに築いてきた金融資産をどう活用するかが大きなカギとなります。