ゴーン氏がいなくなったらどうなるのかと「ポスト・ゴーン」体制をフランス政府が心配するのも当然です。だからこそゴーン氏に対しルノーと日産の合併を求めたと考えられるのではないでしょうか。

一方、日産とルノーを無理に合併させてもうまくいかない事は、ゴーン氏に分からないはずはありません。本音ではルノーと日産の合併は手掛けたくなかったのではないでしょうか。

ゴーン氏はルノーでも報酬をフランス政府から監視され、また、仮にゴーン氏がルノーと日産の合併をやりたくなく、結果として今回の逮捕を招いたのだとすれば、ゴーン氏にとっては踏んだり蹴ったりの状況といえます。

ゴーン氏逮捕という「ゴーン・ショック」、今後の展開はどうなるのか

ゴーン氏は日産とルノー、三菱の会長に就き、3社のアライアンスのCEOを務めていました。ゴーン氏に権力が過度に集中していたことも、今回の事態を招いた原因の一つといえます。

日産はゴーン氏の会長職を解任しましたが、ルノー側はゴーン氏の会長職はそのままの状態です。この状況は日産の現経営陣にとっては、なんとも落ち着かない状況といえるのではないでしょうか。

ゴーン氏の今後について、日産の視点だけでなくフランスそしてマクロン大統領との関係の視点も持つことで、ゴーン氏への東京地検の対応が決まることではじまる「第三幕」も目が離せない事件となっています。

石井 僚一