2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決され、法律として成立しました。
この改正は、働き方や家族の形が多様化する現代に合わせて、年金制度をより柔軟で持続可能なものにするためのものです。
中小企業で働く短時間労働者の社会保険加入拡大、在職老齢年金や遺族年金の見直し、iDeCoの加入年齢引き上げなど、私たち一人ひとりの暮らしに関わる重要なポイントが盛り込まれています。
まずは、今回の法改正の主なポイントを整理しておきましょう。
1. 年金制度改正、わたしたちの生活はどう変わる?主な改正内容
1.1 社会保険の加入対象の拡大
- 中小企業において短時間で働く人などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにする
1.2 在職老齢年金の見直し
- 年金を受け取りながら働くシニアが、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする
1.3 遺族年金の見直し
- 遺族厚生年金の男女差を解消。子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
1.4 保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
- 月収が一定以上となる人が、賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする
1.5 その他の見直し
- 子どもの加算などの見直し、脱退一時金の見直し
- 私的年金の見直し:iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)加入年齢の上限引き上げなど
こうした改正からも、公的年金は「老後の受給額」だけではなく、現役世代の働き方・キャリア設計・ライフスタイル全体に関わる制度であることがわかります。
今回は、公的年金のしくみの基本や、現代のシニア世代が実際にどれくらいの年金が支給されているのか、年金の平均月額一覧表を見ながら具体的に確認していきましょう。