来月8月は年金支給月。公的年金は老後の生活を支える重要な柱ですが、それだけで十分なのだろうかと不安を感じる方も少なくないでしょう。今回は、総務省の最新の家計調査データをもとに、65歳以上の無職夫婦世帯のリアルな家計収支、貯蓄の実態、そして2025年度の年金額改定について深く掘り下げます。年金受給額の平均や、働き続けるシニアの増加傾向も踏まえ、将来にわたる安心な老後を築くためのヒントを探っていきましょう。
1. 65歳以上の無職夫婦世帯「みんなは、毎月の家計収支っていくら?」
総務省統計局が2025年3月11日に公表した「家計調査報告 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職夫婦世帯のひと月の平均実収入は25万2818円です。このうち約9割にあたる22万5182円が主に年金などの社会保障給付で占められています。
一方、ひと月の支出合計は28万6877円にのぼり、内訳として生活費にあたる消費支出が25万6521円、税金や社会保険料などの非消費支出が3万356円です。消費支出の中でも食料費が7万6352円と最も多く、次いで交通・通信費が2万7768円、教養娯楽費が2万5377円となっています。
結果として、この世帯の家計は毎月3万4058円の赤字となっており、生活費の不足分は貯蓄の取り崩しなどで補う必要があります。このデータはあくまで平均値であり、記載されている支出の内訳には介護費用が含まれておらず、住居費も1万6432円と比較的低額です。そのため、世帯構成や健康状態によっては、さらに多くの出費が必要となる可能性も考慮しておくべきでしょう。