近年の物価高騰の影響を受け節約の日々を送っている方の中には、「富裕層の仲間入りをしたい」と思ったことがある方もいるのではないでしょうか。

経済的な不安を感じずに、ゆとりを持った暮らしに憧れる方もいるでしょう。

日本では一体、どれくらいの世帯がその特別な層に属しているのでしょうか?

本記事では、株式会社野村総合研究所の最新データをもとに、富裕層と超富裕層の割合や最新の動向を確認するとともに、年代別の平均貯蓄額を解説していきます。

1. 「富裕層」と「超富裕層」は日本にどのくらいいる?

日本には、富裕層や超富裕層といわれる世帯はどのくらい存在するのでしょうか。

まずはそれぞれの定義を確認するとともに、具体的な割合を確認していきましょう。

1.1 「富裕層」と「超富裕層」とは?

「富裕層」と「超富裕層」は、ともに明確な定義はありません。

しかし一般的には、株式会社野村総合研究所が示した定義により、「富裕層」は純金融資産1億円以上5億円未満、「超富裕層」は純金融資産5億円以上を指すことが多いです。

なお、「純金融資産」とは、預貯金や株式、債券、投資信託などの世帯が保有する金融資産合計額から負債を引いた金額です。

この純金融資産保有額によって、国内の全世帯を以下の5つの階層に分類しています。

 

1.2 富裕層は約2.75%、超富裕層は約0.21%

全世帯5570.4万世帯のうち、富裕層は153.5万世帯存在し、約2.75%となっています。

また超富裕層は11.8万世帯で、全体のわずか約0.21%です。

富裕層も超富裕層も、ごく一部のかなり限られた世帯といえます。

富裕層と超富裕層は2005年以降増加傾向にあり、2023年には2つの層を合わせて165.3万世帯となっています。

2021年の合計148.5世帯よりも11.3%の増加です。

1.3 株式や投資信託の利益により純金融資産総額が増加

富裕層や超富裕層世帯では、世帯割合が増加しているだけでなく、純金融資産総額も増加傾向にあります。

2021年から2023年の間に、富裕層では29.0%、超富裕層では28.6%の増加となっています。

純金融資産総額が増加している理由として、株式や投資信託といったリスク性資産の価格が上がった結果、これらの資産を多く保有している富裕層・超富裕層の資産額が拡大したことが考えられます。

また、準富裕層から富裕層へ、そして富裕層から超富裕層へと、上位の階層へ移行する動きがあったことも理由の一つと考えられるでしょう。

1.4 「いつの間にか富裕層」になっている?

株式会社野村総合研究所は、全世帯を純金融資産額に応じて5つの層に分類しましたが、今回の統計結果から、「いつの間にか富裕層」という新たな層が存在するようになったとしています。

「いつの間にか富裕層」は、ここ数年の株価好調により資産運用が成功し、富裕層の仲間入りを果たした層です。

主に40歳代後半から50歳代にかけての一般的な会社員に多くみられるようです。

株式会社野村総合研究所では、富裕層以上の世帯の1〜2割を「いつの間にか富裕層」が占めていると試算しています。

2. 【年代別】平均貯蓄額一覧表

富裕層や超富裕層に憧れる方も多いと思いますが、実際の平均的な貯蓄額はいくらなのでしょうか。

金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに、年代別に確認していきましょう。

なお、以下のデータには「平均値」と「中央値」の2つの値があります。

平均値とはデータの値の合計をデータの個数で割った値のことです。データの全体を把握しやすいですが、極端に大きなまたは小さな値があると、その影響を受けやすく実際の平均とはかけ離れることがあります。

一方、中央値とはデータの値を小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中になる値のことです。

データの極端な値に左右されずに、実態に近い中心値が把握しやすいですが、全体を把握するには適していません。

そのため、平均値と中央値の双方を合わせて見ることが大切です。

2.1 「年代別」単身世帯の平均貯蓄額

単身世帯の年代別の平均貯蓄額は以下の通りです。

平均値・中央値ともに、年齢が高くなるほど高額になっていくことがわかります。60歳代以降の貯蓄額が多くなっているのは、退職金などの受取が影響していると考えられるでしょう。

2.2 「年代別」二人以上世帯の平均貯蓄額

続いて、二人以上世帯の平均貯蓄額を年代別に見ていきます。

各年代において、単身世帯よりも高額な貯蓄額となっていることがわかります。

二人以上で生活しているため、単身よりも多くの備えが必要なことが理由の一つと考えられます。

3. 家計や資産全体のバランスを把握することからはじめましょう

現在の日本では、富裕層が約2.75%、超富裕層が約0.21%とされており、ごく少数の限られた世帯のみが該当している状況です。

それゆえに憧れる方も多いでしょう。

しかし最近は、「いつの間にか富裕層」という新しい層が誕生しており、投資などで資産形成している世帯が、知らぬうちに富裕層の仲間入りを果たしているケースが見られます。

ただし、資産運用は利益が期待できるだけでなく、価格変動リスクが伴います。

富裕層や超富裕層を目指し、資産運用を検討されている方は、まずは家計や資産全体のバランスを把握しておくことが大切です。

投資による資産形成を取り入れるのも一案ですが、金融商品ごとに異なる特徴や市場の動向をよく確認したうえで、家計の余剰資金を用いて検討するようにしましょう。

参考資料

木内 菜穂子