定年退職後も働き続ける人が増えています。65歳~69歳では53.6%と、半数以上が働いていることが分かっています。
6月13日は年金支給日です。すでに受給を開始している人にとっては、収入の一部として位置づけられる一方、年金と就労収入とのバランスに悩む場面もあるかもしれません。
在職老齢年金制度により、一定の収入を超えると年金の一部が減額されるケースもあります。
今回は、働くシニア世代が覚えておきたい、国の支援制度についてくわしく見ていきます。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
1. 【申請必須】シニアが知っておきたい老齢年金関連2選
老齢年金を受給中のシニアが一定要件を満たす場合、通常の老齢年金に上乗せして受け取れるお金を「2種類」紹介します。
1.1 その1「加給年金」
加給年金は「年金の扶養手当(家族手当)」と例えられることがある制度です。
一定要件を満たした場合、老齢厚生年金を受給中の人が年下の配偶者や子どもを扶養する場合に年金に上乗せして受け取ることができます。
加給年金《支給要件》
- 厚生年金加入期間が20年(※)以上ある人:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)
- 65歳到達後(もしくは定額部分支給開始年齢に到達した後)に被保険者期間が20年(※)以上となった人:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)
(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年
それぞれ、上記で示したタイミングで、「65歳未満の配偶者」または「18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子」がいる場合、年金に上乗せされます。
ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上あるもの)、退職共済年金(組合員期間が20年以上あるもの)を受給する権利がある場合、または障害厚生年金、障害基礎年金、障害共済年金などを受給している場合、配偶者加給年金の支給対象となります。
加給年金《2025年度の年金額》
「加給年金」の年金額(2025年度の年額)は以下のとおりです。
- 配偶者:23万9300円
- 1人目・2人目の子:各23万9300円
- 3人目以降の子:各7万9800円
なお、老齢厚生年金を受給中の人の生年月日により、配偶者の加給年金額に3万5400円~17万6600円の特別加算額が支払われます。
振替加算とは
加給年金は対象となる配偶者が65歳になると支給は終わります。ただしその配偶者が老齢基礎年金を受け取る場合、一定の要件を満たせば老齢基礎年金に「振替加算」されます。
1.2 その2「老齢年金生活者支援給付金」
年金生活者支援給付金は、基礎年金を受給する人が一定の所得要件を満たす場合に受け取れるお金です。「老齢」「障害」「遺族」それぞれに給付金があり、支給要件が設けられています。
ここでは「老齢年金生活者支援給付金」にフォーカスしていきます。
老齢年金生活者支援給付金の支給要件
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの人は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前生まれの人は88万7700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた人で78万9300円を超え88万9300円以下である人、昭和31年4月1日以前に生まれた人で78万7700円を超え88万7700円以下である人には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
老齢年金生活者支援給付金の給付基準額
2025年度、老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は月額5450円で、前年度より2.7%増額されました。
この基準額をもとにして、保険料納付済状況により給付金額が算出されます(下記①と②の合計額)。
老齢年金生活者支援給付金の給付額の計算式
- ①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5450円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
- ②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1151円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月
例)国民年金保険料を全期間(40年間)納付した場合、2025年度は「月額5450円=年額6万5400円」の給付金が支給されます(昭和16年4月1日生まれまでの人は計算が異なります)。
なお、保険料免除期間に乗ずる金額は、毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変わります。