3. シニア世帯はどのくらい老後資金がある?
月額21万円の年金収入で平均的な老後生活を20年間送る場合、年金以外に約1845万円ものお金が必要となることを確認しました。
では、実際のシニア世帯はどのくらい貯蓄があるのでしょうか。
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査」によると、70歳代二人以上世帯の貯蓄額の分布は以下のとおりです。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
3.1 70歳代二人以上世帯の貯蓄額
- 非保有:20.8%
- 100万円未満:5.4%
- 100~200万円未満:4.9%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:2.3%
- 500~700万円未満:4.9%
- 700~1000万円未満:6.4%
- 1000~1500万円未満:10.2%
- 1500~2000万円未満:6.6%
- 2000~3000万円未満:8.9%
- 3000万円以上:19.0%
- 無回答:3.5%
- 平均値:1923万円
- 中央値 :800万円
平均値は1923万円・中央値は800万円となっています。
平均値は一部のお金持ちの影響を受けるため、中央値がより実態を表していると言えるでしょう。
多くのシニア世帯では、1000万円も貯蓄がないのが実態です。
また、貯蓄がゼロの世帯も20.8%もあります。
そのため、このような貯蓄が十分にない世帯は、生活水準を下げて支出を抑えることで、老後生活を切り抜けることが必要です。
4. 定年退職後に働くという選択肢もある
年金収入が少なく貯蓄も少ない人は、定年退職後も働き続けることを検討してみてもよいかもしれません。
総務省「統計からみた我が国の高齢者」によると、2023年における65~69歳の就業率は52.0%、70~74歳の就業率は34.0%です。
定年退職後も、再雇用や再就職で働く方が増加傾向にあります。
できるだけ長く働くことで老後のお金の負担を軽くして、少しでもゆとりのある老後生活を目指してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「公的年金シミュレーター」
- 総務省統計局「家計調査報告書(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査」
- 総務省「統計からみた我が国の高齢者」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
苛原 寛