2. 60歳代&70歳代の「貯蓄額」はいくら?
60歳代世帯と70歳代世帯の貯蓄額については、金融経済教育推進機構(J-FLEC)が公表している「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」を参考に見ていきます。
なお、調査結果では「平均値」と「中央値」という言葉が出てきますが、それぞれ異なった値を示すものであるため、違いを押さえておきましょう。
平均値とはデータの値の合計をデータの個数で割った値のことです。
データの全体を把握しやすいですが、極端に大きなまたは小さな値があると、その影響を受けやすく実際の平均とはかけ離れることがあります。
一方、中央値とはデータの値を小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中になる値のことです。
データの極端な値に左右されずに、実態に近い中心値が把握しやすいですが、全体を把握するには適していません。
そのため、平均値と中央値の双方を合わせて見ることが大切です。
2.1 60歳代の貯蓄額はいくら?
60歳代の貯蓄額について、二人以上世帯と単身世帯とに分けて見ていきましょう。
【二人以上世帯】
60歳代の二人以上世帯の貯蓄額は平均値が2033万円、中央値が650万円です。
平均値と中央値がかけ離れていることから、高額な貯蓄を有している世帯が全体の平均を引き上げていると考えられます。
下表は、金融資産保有額ごとの世帯割合をまとめたものです。
「金融資産なし」世帯と「3000万円以上」世帯がそれぞれ約20%存在し、十分な貯蓄のある世帯とない世帯の差が大きいことがわかります。
【単身世帯】
60歳代単身世帯の貯蓄額は平均値が1679万円、中央値が350万円です。
単身世帯でも、平均値と中央値に大きな開きがあります。
金融資産保有額ごとの世帯割合も確認しましょう。
「金融資産なし」世帯が最も多く27.7%となっており、およそ3.5世帯に1世帯が貯蓄なしということになります。
「3000万円以上」世帯は16.8%存在し2番目に多くなっていますが、「100万円未満」世帯が8.9%と3番目に多くなっていることから、十分な貯蓄がない世帯が多いことがわかります。