6月に入り、梅雨のシーズンとなりました。雨の日が続くなかで外出の機会が減り、家の中で過ごす時間が自然と増えてきますね。

このような季節だからこそ、普段は後回しにしがちな家計の状況を見直す良い機会とも言えるのではないでしょうか。

総務省統計局が公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」には、現代日本の各世帯の貯蓄や負債状況に関する情報が示されています。

今回は、そのデータから、二人以上世帯の貯蓄と負債の実態について見ていきます。

1. 【日本の家計事情】二人以上世帯の平均貯蓄額と負債額はどれくらい?

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」によると、日本の二人以上の世帯における平均的な貯蓄と負債の状況は、以下のようになっています。

1.1 平均貯蓄額と中央値

  • 平均貯蓄現在高:1984万円(前年比+80万円、4.2%増)
  • 中央値:1189万円

平均貯蓄現在高は6年連続で増加しており、比較可能な2002年以降で最多となっています。

ただし、平均値は一部の大きな値(今回なら一部の高額貯蓄世帯)に引き上げられる傾向があります。そこでより実態に近い貯蓄保有世帯の中央値を見ると、1189万円となっており、平均値と乖離が見られます。

次章では、二人以上世帯の「資産の内訳」について見てみましょう。

2. 日本人は安定志向?通貨性預貯金が「16年連続で増加」

貯蓄の種類別貯蓄現在高及び構成比の推移(二人以上の世帯)

貯蓄の種類別貯蓄現在高及び構成比の推移(二人以上の世帯)

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」

 

貯蓄の内訳では、2023年と比べると現金や普通預金といった「通貨性預貯金」が692万円(前年比+32万円、4.8%増)と増加傾向にあり、「有価証券」も377万円(前年比+54万円、16.7%増)と2年連続の増加となりました。

2.1 【資産の内訳】

  • 通貨性預貯金(普通預金など): 692万円
  • 定期性預貯金: 538万円
  • 生命保険など: 347万円
  • 有価証券(株式や投資信託など): 377万円
  • 金融機関外(社内預金など): 30万円

有価証券の割合が増加傾向とはいえ、貯蓄全体の約6割は低リスクの預貯金で保有されています。

また、特に通貨性預貯金は16年連続で増加しており、根強い安定志向がうかがえます。

3. 「負債現在高」は655万円。多くが「住宅・土地のための負債」

これまで貯蓄について解説してきましたが、日本の「負債額」はどれほどなのでしょうか。

同じ資料から二人以上世帯の「負債現在高」について見ていきます。

  • 負債現在高:663万円(前年比+8万円、1.2%増)
  • 平均:1709万円
  • 中央値:1480万円
  • 負債保有世帯の割合:38.8%

二人以上の世帯について負債の内訳をみると、住宅・土地のための負債が612万円(前年比+11万円、1.8%増)と大部分を占めています。

特に、民間機関からの借入が504万円となっており、住宅ローンの負担が家計に与える影響は無視できないでしょう。

3.1 40歳未満の世帯では「負債超過」状態も

世帯主の年齢別に見ると、40歳未満の世帯では、負債現在高が平均で1765万円にも上り、負債が貯蓄を大きく上回っている「負債超過」の状態になっています。

純貯蓄額(貯蓄現在高-負債現在高)を見ると、50歳以上の世帯では貯蓄現在高が負債現在高を上回り、60~69歳の世帯の純貯蓄額は2389万円と最も多くなっています。

年齢が上がるにつれて負債は減少していく傾向が見て取れます。

世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高、負債保有世帯の割合3/4

世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高、負債保有世帯の割合

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」

世帯の年齢やそれぞれのライフステージによって、家計状況や資産・負債のバランスは異なります。

若い世代は将来に向けて資産形成を行う過程にあり、住宅ローンなどを抱えることから負債額は大きくなりがちです。

「貯蓄が多い」というのは老後生活の安心感に直結するものですが、退職金や家族の健康状態などさまざまな要因をうけ、家計は変動していきます。平均値はあくまで参考とし、ご自身の無理のない範囲で資産管理を進めましょう。

4. 家計を適正化するには、現状の把握から

今回は二人以上世帯の貯蓄や負債の状況について見てきました。

調査結果は、私たちの家計を見直すうえで参考になる部分も多いでしょう。貯蓄や負債の金額だけでなく、その内訳や年齢層による資産の違いを知ることは、将来をイメージするにあたって重要なポイントです。

6月は、夏のボーナスなどにより大きな支出を控える時期でもあり、家計を見直すには絶好のタイミング。

梅雨の合間に、生活費の見直しやローンの整理、老後資金の準備など、自分自身のライフプランや資金計画に向き合ってみてはいかがでしょうか。

まずは現状を正しく把握することが、安心したセカンドライフを迎えるための第一歩になるはずです。

5. 【参考】65歳以上無職夫婦世帯のひと月の生活費

総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、標準的な65歳以上の無職夫婦世帯の家計収支を確認します。

5.1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)4/4

65歳以上の生活費

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」

収入:25万2818円

■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円

支出:28万6877円

■うち消費支出:25万6521円

  • 食料:7万6352円
  • 住居:1万6432円
  • 光熱・水道:2万1919円
  • 家具・家事用品:1万2265円
  • 被服及び履物:5590円
  • 保健医療:1万8383円
  • 交通・通信:2万7768円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万5377円
  • その他の消費支出:5万2433円
    • 諸雑費:2万2125円
    • 交際費:2万3888円
    • 仕送り金:1040円

■うち非消費支出:3万356円

  • 直接税:1万1162円
  • 社会保険料:1万9171円

家計収支

  • ひと月の赤字:3万4058円
  • エンゲル係数(※消費支出に占める食料費の割合):29.8%
  • 平均消費性向(※可処分所得に対する消費支出の割合):115.3%

この世帯の場合、毎月の収入は25万2818円、そのうち約9割(22万5182円)を占めるのが公的年金などの社会保障給付です。

一方で支出の合計は28万6877円。そのうち消費支出(いわゆる生活費)が25万6521円、非消費支出(税や社会保険料など)が3万356円でした。

なおエンゲル係数は29.8%、平均消費性向は115.3%。この夫婦世帯の場合、毎月3万4058円の赤字が発生します。これを、主に貯蓄の取り崩しなどでカバーしていく必要があります。

参考資料

マネー編集部貯蓄班