5. コラム【時効は5年】年金は「申請しないと受け取れない!」年金請求書の提出は必須
公的年金の受給には、年金請求書の提出が必要です。65歳になると自然に老齢年金が振り込まれるわけではありません。
年金受給開始のタイミングに先立ち(※1)日本年金機構から届く「年金請求書」を記載し、添付資料ととも提出する必要があります。
なお、年金の受給開始年齢は原則として65歳ですが、特別支給の老齢厚生年金(※2)の支給対象となる場合には65歳を待たずに年金請求書が届きます。
※1 原則として、65歳の誕生日を迎える3カ月前
※2 「特別支給の老齢厚生年金」の受給開始年齢は、生年月日と性別に応じて異なります。詳しくは日本年金機構のホームページでご確認ください。
請求書が送られてきたら、同封のパンフレットの提出方法を確認して提出します。提出しないと年金を受給することができませんので、注意しましょう。
【ご注意】なお、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金を受けている方が65歳になったときは、特別支給の老齢厚生年金に代わり、新たに老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けることになります。この場合は改めて「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)」の提出が必要です。
5.1 年金には「5年の時効」がある
住所変更などが原因で年金請求書が届かなかった、年金請求書は届いていたが提出を忘れていた、などで年金の請求が遅れてしまった場合でも、さかのぼって年金を受給することが可能です。
- 老齢年金
- 時効の期間:5年
- 時効の起算日:支給事由が生じた日の翌日(※)
- 障害年金
- 時効の期間:5年
- 時効の起算日:支給事由が生じた日の翌日(※)
- 遺族年金
- 時効の期間:5年
- 時効の起算日:支給事由が生じた日の翌日(※)
- 未支給年金
- 時効の期間:5年
- 時効の起算日:受給権者の年金の支払日の翌月の初日
- 死亡一時金
- 時効の期間:2年
- 時効の起算日:死亡日の翌日
- 脱退一時金
- 時効の期間:2年
- 時効の起算日:日本に住所を有しなくなった日
※支分権については年金の支払日の翌月の初日
ただし、年金には「5年の時効」がある点には注意が必要です。年金を受ける権利(基本権)は、権利が発生してから5年経過すると時効消滅となります。
やむ得ない事情がある場合は、書面で申し立てをおこなうことで年金を受け取れることがあります。まずは年金事務所に相談してみましょう。
6. まとめにかえて
「人生100年時代」と呼ばれるいま、公的年金制度の先行きは不透明な状況です。年金「だけ」に頼るのではなく、自分で工夫しながら老後資金を準備する「自助努力」は今後ますます大切になっていくでしょう。
もちろん、キャリアアップによって年収増を目指したり、日ごろの生活費を見直して節約に繋げていく意識も大切です。
しかし、ただ漠然と銀行などの預貯金としてお金を持っているだけでは、現在の物価上昇と低金利では資産を増やすことは難しいでしょう。むしろ、インフレによって実質的な資産価値が目減りしてしまう可能性もあります。
そこで「資産運用」でお金にも働いてもらう視点を持ってみるもの良いでしょう。
国の税制優遇制度である「新NISA」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」などを活用するのも一案です。非課税メリットを生かしながら効率的な資産形成に繋げていけたら良いですね。
働き盛りの現役時代のころから、「今できることを」少しずつ進めていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構 年金用語集「は行 被用者年金」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」
- 日本年金機構「老齢年金請求書の事前送付」
- 日本年金機構「年金の時効」
野平 大樹