清々しい秋晴れが広がり、澄んだ空気とともに季節の深まりを感じる時節となりました。

老後の生活を支える公的年金について、実際のところ「普通の人たちは平均でいくらもらっているのだろうか?」と、関心を持つ方は多いでしょう。

日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」を土台とする二層構造によって成り立っています。

このため、年金の加入期間や現役時代の働き方、収入などによって、老後に受け取る年金額は大きく異なります。

この記事では、厚生労働省の調査データをもとに、60歳代から90歳以上を対象に年代別・男女別に平均年金月額をご紹介します。

老後生活の計画を立てる際の参考にしてください。

1. 【高齢者世帯全体の平均的な所得構成】公的年金だけに頼る割合は?

厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の収入の実態を見ていきましょう。

まず、高齢者世帯全体の平均的な所得構成を見ると、収入の63.5%を「公的年金・恩給」が占めており、次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%となっています。

しかし、これはあくまで全体の平均値です。

「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯が43.4%にものぼることがわかっています。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

1.1 【総所得に占める公的年金・恩給の割合別 世帯構成】

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%

このようにシニア全体で見れば稼働所得なども一定の割合を占めていますが、年金受給世帯に絞ると、その半数近くが公的年金収入のみに頼って生活しているという実態が浮き彫りとなっています。

次は、日本の公的年金の2階建て構造について見ていきます。ご自身が対象となる年金の種類をチェックしてみましょう。