4. 年齢受給額が年齢によって上がるわけではない

年金受給額は年齢によって増えるわけではありません。年齢ごとの平均額一覧表を見ると、年齢が上がるほど受給額も増えると考えがちですが、実際はそうではありません。個人の年金受給額は、基本的にその人が初めて受け取りを開始した時に決定され、基本的にはその後大きく変わることはないのです。ただし、物価の変動や経済状況に応じて年齢を問わず全体的に年金額が改定される場合はあります。

一覧表は「その年齢層で、そのくらいの額を受け取っている人が多い」ということを示しているにすぎず、個々の受給額が年齢とともに増えているという意味ではありません。例えば、70歳の平均受給額が65歳より高い理由としては、今の70歳世代の方が、高い年金額で受給を開始している傾向があるということです。

5. 平均受給額はあくまで参考程度に

今回は、60歳から89歳までの年齢別の年金平均受給額と、その差が生じる要因について解説してきました。最新のデータでは、高年齢層になるにつれて、平均受給額が高くなる傾向が見られました。

これらの差は、特別支給の老齢厚生年金制度や繰上げ・繰下げ受給の選択など、複数の要因が組み合わさっていると考えられます。年金額は年齢によって自動的に増えるわけではなく、基本的には受給開始時に決定された金額が継続していきます。

今回お伝えした金額は、あくまでもご自身の年金額と比較する一つの指標として見ていただけたらと思います。

年金制度は複雑で変化し続けていますが、正しい知識を持つことで、より安心できる老後生活の準備が可能になるはずです。

年金受給を含め、老後の生活設計についてお悩みの場合は、ファイナンシャルプランナーなど専門家への相談をすることもおすすめです。自分自身の老後を見据え、早めの対策を講じていきましょう。

参考資料

斎藤 彩菜