5月も中旬に入り、新緑が目に鮮やかな季節となりました。

日々の暮らし向きについて、改めて考える機会も増える頃かもしれません。

特に公的年金を受給している方や、これから受給を控えている方にとって、物価の動向や生活費は常に気になるテーマでしょう。

実は、公的年金の収入などが一定の基準に満たない場合に、年金に上乗せして給付金が支給される「年金生活者支援給付金」という制度があります。

この記事では、どのような方が対象となるのか、いくら受け取れるのか、そして手続きはどのように進めるのか、制度の基本をわかりやすく解説します。

1. 年金生活者支援給付金とは?制度の基本的な仕組みを解説

年金生活者支援給付金は、公的年金などの収入や所得が一定基準額に満たない年金受給者の生活を支援する目的で設けられています。

この制度は一時的なものではなく、年金に上乗せする形で継続的に支給されるのが大きな特徴です。

給付金は、受け取っている基礎年金の種類によって、次の3つに分類されます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

受け取るためには初回の申請が必要ですが、一度手続きを済ませれば、支給要件を満たす限り2カ月に1度、定期的に支給が継続されます。

2. 【種類別】年金生活者支援給付金の具体的な支給要件

この給付金は、基礎年金を受け取っている方で、年金収入とその他の所得の合計が基準額を下回る場合に支給対象となる可能性があります。

ここでは、給付金の種類別に、具体的な支給要件を詳しく確認していきます。

2.1 老齢年金生活者支援給付金を受け取るための条件

老齢年金生活者支援給付金は、以下の3つの要件をすべて満たす方が対象となります。

  • 65歳以上であり、老齢基礎年金を受け取っている
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
  • 前年の公的年金などの収入額とその他の所得の合計額が、生年月日に応じて定められた基準額以下である(昭和31年4月2日以降生まれ:80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれ:80万6700円以下)

※1 障害年金や遺族年金などの非課税収入は、この収入金額の計算には含まれません。

※2 基準額をわずかに超える方(昭和31年4月2日以降生まれで80万9000円超90万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれで80万6700円超90万6700円以下)には、補足的な給付金が用意されています。

2.2 障害年金生活者支援給付金を受け取るための条件

障害年金生活者支援給付金を受け取るための条件3/10

障害年金生活者支援給付金を受け取るための条件

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

障害年金生活者支援給付金を受け取るためには、次の2つの要件を両方満たす必要があります。

  • 障害基礎年金を受け取っている
  • 前年の所得額が479万4000円以下である(扶養親族の人数によって基準額は増えます)

※ 所得額の計算では、障害年金といった非課税収入は除かれます。

2.3 遺族年金生活者支援給付金を受け取るための条件

遺族年金生活者支援給付金を受け取るための条件4/10

遺族年金生活者支援給付金を受け取るための条件

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」

遺族年金生活者支援給付金は、以下の要件をすべて満たす方が対象です。

  • 遺族基礎年金を受け取っている
  • 前年の所得額が479万4000円以下である(この基準額は扶養親族の数に応じて変動します)

※ 所得額を計算する際、遺族年金などの非課税収入は含まれません。

3. 年金生活者支援給付金、平均で月々いくらもらえる?

厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、実際に支給されている給付金の平均月額を見ていきましょう。

2025年3月時点のデータでは、平均給付月額は老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円です。

※この金額は2025年3月時点で認定されている方の平均給付額です。

さらに、年齢階層別の平均額についても詳しく確認します。

3.1 【年齢別】老齢年金生活者支援給付金の平均月額

  • 70歳未満 4905円(43万9628件)
  • 70~74歳 4374円(56万1362件)
  • 75~79歳 4092円(85万9446件)
  • 80~84歳 3936円(95万453件)
  • 85~89歳 3989円(82万8270件)
  • 90歳以上 4045円(86万5282件)

3.2 【年齢別】障害年金生活者支援給付金の平均月額

  • 30歳未満 5692円(26万6276件)
  • 30~39歳 5668円(31万6202件)
  • 40~49歳 5655円(37万1772件)
  • 50~59歳 5671円(46万8876件)
  • 60~69歳 5749円(38万4626件)
  • 70~79歳 5880円(26万4423件)
  • 80歳以上 6033円(10万4991件)

3.3 【年齢別】遺族年金生活者支援給付金の平均月額

  • 20歳未満 4190円(5687件)
  • 20~29歳 5310円(529件)
  • 30~39歳 5310円(7881件)
  • 40~49歳 5310円(3万4072件)
  • 50~59歳 5310円(2万7828件)
  • 60歳以上 5310円(1710件)

4. 年金生活者支援給付金の申請方法と手続きの流れ

年金生活者支援給付金は自動で支給開始とはならず、ご自身で申請手続きを行う必要があります。

手続き忘れのないよう注意が必要です。

ここでは、主な2つのパターンに分けて、請求手続きの流れを説明します。

4.1 ケース1:すでに年金を受け取っており、新たに給付対象となった場合

  1. 毎年9月上旬頃から、対象となる可能性のある方へ「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。届いたら必要事項を記入し、切手を貼ってポストに投函してください。
  2. 締切日までに提出すると10月分から遡って受け取れます。提出が遅れた場合は請求した月の翌月分からの支給となるため、早めに手続きを済ませることが重要です。

※「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた場合、郵送の代わりに電子申請も利用できます。電子申請を行った場合は、はがきを郵送する必要はありません。

4.2 ケース2:これから老齢年金の受給を開始し、給付対象となる場合

  1. 年金の受給資格が発生する約3カ月前に、日本年金機構から年金を受け取るための「年金請求書」が送付されます。その中に「年金生活者支援給付金請求書」も同封されています。
  2. 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書と一緒に年金事務所へ提出してください。

4.3 2年目以降の手続きは原則不要

毎年申請が必要かと心配になるかもしれませんが、一度請求手続きをすれば、その後は支給要件を満たし続ける限り、翌年以降の申請は基本的に不要です。

※年金生活者支援給付金の支給継続については、毎年度、前年の所得情報などに基づき判定されます。その結果は毎年10月分(12月支給分)から1年間適用されることになります。

5. 高齢者世帯の生活実態:半数以上が「生活が苦しい」と回答

ある調査によると、高齢者世帯の過半数が日々の暮らしに「苦しさ」を感じているという実態が明らかになっています。

ここでは、厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯の生活意識に関するデータを確認します。

この調査で明らかになった、高齢者世帯の生活意識の内訳は以下の通りです。

5.1 高齢者世帯の生活意識の内訳

  • 大変苦しい 25.2%
  • やや苦しい 30.6%
  • 普通 40.1%
  • ややゆとりがある 3.6%
  • 大変ゆとりがある 0.6%

「大変苦しい」と「やや苦しい」を合計すると、生活が「苦しい」と感じる世帯は55.8%にのぼり、半数を超える結果となりました。

このデータから、「普通」と回答した世帯よりも、生活に「苦しさ」を感じている世帯のほうが多い実情がうかがえます。

6. まとめ

本記事では、公的年金に上乗せで支給される「年金生活者支援給付金」について、制度の概要から具体的な支給条件、平均受給額、申請方法までを解説しました。

この給付金は老齢・障害・遺族の3つの基礎年金に対応しており、所得などの要件を満たす方が対象です。

厚生労働省の調査からは、多くの高齢者世帯が生活に困難を感じている実態も明らかになっています。

年金生活者支援給付金は、こうした状況を支える重要な制度といえるでしょう。

ご自身が対象かもしれないと思った方は、日本年金機構からの通知を確認したり、最寄りの年金事務所へ相談してみることをおすすめします。

この給付金は自動では支給されないため、対象となる場合は忘れずに手続きを行うことが大切です。

※当記事は再編集記事です。

参考資料

マネー編集部社会保障班