3. 年金が減ると生活保護世帯は増える?
年金額が減ると、生活保護の受給者が増える可能性があります。年金は物価と賃金の変動率によって改定されます。2025年度の基礎年金額は満額で月額6万9308円で、昨年度より1308円上昇しています。
ただし、改定によって年金が減額される場合もあるでしょう。年金が減額されるケースとしては、賃金が物価以上に下落している場合や、物価が上昇して賃金が下落している場合が挙げられます。
この際、賃金・物価ともに下落している場合は、生活保護の最低生活費も現状のものよりやや低い金額が設定される可能性があります。しかし、物価が上昇し賃金が下落している場合は、年金が減額されるにもかかわらず最低生活費が上昇し、生活保護の申請者が増える可能性が高まるのです。
加えて、65歳から受け取る老齢基礎年金の受給額は満額で月額6万9308円なのに対し、東京23区の最低生活費は約13万円と、基礎年金のみでは収入が最低生活費に届きません。老齢厚生年金を併給できても、月あたりの平均受給額は14万6429円と、最低生活費をなんとか上回っている状況です。
厚生労働省の「令和6年度被保護者調査 結果の概要」によれば、保護世帯数164万3111世帯のうち、高齢者世帯が90万2810世帯で54.1%を占めています。もし年金が減額されれば、最低生活費を満たさない収入額の人が増え、高齢の生活保護申請者がさらに増える可能性は十分あるでしょう。