2. 生活保護の支給要件は4つ
生活保護が支給される要件は、以下の4つです。
- 資産の活用:預貯金や生活に利用されていない土地・家屋などがあれば売却して生活費に充てること。
- 能力の活用:働ける場合は、能力に応じて労働すること。
- あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けられる際は、それらを優先して活用すること。
- 扶養義務者の扶養:親族などから援助を受けられる際は、援助を受けること。
※それでもなお収入が最低生活費に満たない場合は、保護を適用する。
ひとつずつ要件を見ていきましょう。
2.1 資産の活用
資産の活用とは、使用していない不動産などの資産があればすべて売却し、預貯金を含めてすべて生活費に充てることを指します。
たとえば、過去に相続した土地や、現在は使用していない車などを売却してお金に換えれば、生活費に充てられます。保護を受ける前に、そうした資産を有効活用できるなら、優先的にするよう定められているのです。
2.2 能力の活用
能力の活用とは、主に労働能力のことを指します。つまり、働ける場合は、ご自身の能力に応じて働くことを優先する必要があるのです。
働く形式はどのような形でも構いません。正社員として雇用されているなら、日々の仕事をこなして給与を得ましょう。パートやアルバイトとして雇用されているなら、出勤日数などを調整しながら、収入を増やしていくとよいでしょう。
病気やケガなどの理由で働けないのであれば、資産を売却するなど労働以外の手段で資金を得る努力が必要です。
2.3 あらゆるものの活用
あらゆるものの活用とは、年金や給付を受けられる場合は、それを優先して受けることを指します。
年金受給者の場合は、年金収入のほかに、収入が一定額以下で住民税非課税世帯の老齢年金受給者に支給される「老齢年金生活者支援給付金」などを活用できます。また、これまでに備えてきた預貯金や保険などの金融資産があるなら、それを有効活用しましょう。
年金収入などでも生活が賄えず、労働や資産の売却もできない場合は、次に紹介する手段を最後に頼ることになります。
2.4 扶養義務者の扶養
扶養義務者の扶養とは、親族の支援を受けられる、もしくは扶養に入れるなら、優先して支援を受けることを指します。年金受給者の場合は、子どもや孫の扶養に入れる可能性があるでしょう。
ただし、扶養者は扶養を断ることもできます。「ご自身の生活も苦しい」「関係が破綻しているので扶養したくない」などの理由も認められるのです。
ここまでしても、なお収入が最低生活費に満たない場合、はじめて生活保護を申請できます。申請は自治体の福祉事務所もしくは役所・役場の福祉部署の窓口で行うことになります。扶養に入っている場合や資産を売却して生活費を賄えている場合などは、生活保護を受けられません。
次章では、年金額と生活保護の受給世帯の関係性について解説します。